ディズニー「ファストパス」導入が永遠に変えた事 アトラクションは「早い者勝ち」だったはずが
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 14時0分
続いてディズニーは次の一手を打つ。所有権の設計において天才的な一手だった。
一部の超富裕層は、時間はなくても使えるお金は潤沢にある。最高裁の傍聴席やiPhoneのニューモデル発売で列の先頭を確保するために、行列代行業者にお金を払うような人たちがそうだ。こういう人たちは、ディズニーワールドで行列をスキップするためならいくらでも払う用意がある。
そこでこうした顧客を狙ってディズニーは「プライベートVIPツアー」なるものを考案した。言うなれば「スーパーファストパス++」といった体のものである。
このツアーを購入すればどのアトラクションも待たずに乗れる。それも、一日中。スプラッシュマウンテンを5回連続で乗ることも可能だ。一部の人たちにとって、この特権を手に入れるためなら大金を払う価値がある。
ディズニーが見つけたVIPツアーの「最適価格」
これは、ディズニーにとって利益を増やす簡単な方法に見える。だがそこには落とし穴がある。もし、あまりに多くの裕福なファミリーが目立つ形で行列の先頭に割り込んだら、辛抱強く待っている人たちが怒り出すにちがいない。
ディズニーは、プライベートVIPツアーの値段を十分に高くして利益を増やすと同時に、割り込みに神経を尖らせる行列待ちの人々に気づかれない方策を講じられる兼ね合いを探り、最適価格を見つけ出すことで、この問題を解決した。
実に巧妙な計算の結果、気づかれないように利益を最大化しうる価格は、シーズンによって3000〜5000ドルとされた。これが1グループ当たりのツアー料金(入場料は別)で、7時間連続ですべてのアトラクションの行列をスキップできる。いかに大金持ちといえども、これ以上の金額と時間をディズニーワールドに費やす気はないということだろう。
プライベートVIPツアーには専属ガイドが1グループに1人付き、スマート且つ控えめに誘導してくれる。通常はファストパス+専用レーンから入るので、特別扱いと気づかれることはない。超人気アトラクションなどは、ガイドが通用口や出口から案内する。
ディズニーにはごく最近まで待ち時間短縮方法が何通りか用意されていた。中でも悪名高かったのが、身体障害者用パスである。入園時にこのパスをもらうと、身体障害者1人につき最大6人までのグループが優先搭乗できる。
だが甚だ遺憾なことに、身体障害者が自身を1時間130ドル程度で貸し出し、健常者のファミリーが付き添い人として行列をスキップできるようにしていることが判明する。プライベートVIPツアーと比べたら、このほうがはるかに安上がりだ。
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