日本株の絶好調は続かないと見る「2つの理由」 今後は「予想外の円高リスク」に注意する必要
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 9時30分
日本株が上昇率で米国株を上回る状態はいつまで続くのだろうか。代表的な指標であるTOPIX(東証株価指数)は昨年末比で約16.6%上昇しており、世界の株高を牽引する米国株(S&P500種指数:同+7.4%)を、大きく凌駕している(4月12日時点)。
強いアメリカ経済が理由のドル高円安は日本にプラス
日本株好調の要因はいくつかあるが、やはり為替市場でドル高円安が続いていることがもっとも大きな要因だろう。
実際に、TOPIXをS&P500種指数で割った「日米相対株価」の動きは、2022年以降ほぼドル円と連動している。円安が企業利益全体を押し上げる効果は明確であり、海外投資家にとっても日本株の投資魅力が高まる。双方の経路が強く働いているため、ドル高円安が日本株高を後押ししている。
すでに1ドル=140~150円を上回る円安が1年半にわたって続いているが、高インフレのリスクが小さい日本では、円安の弊害は限定的で、企業部門中心に経済全体の成長を押し上げている。経済メディアを一時賑わせた「悪い円安」は、かなり刺激的な形で取り上げられたが、結局は「かなりの的外れ」だったことを、今や多くの人が認識しているのではないか。
政府も、円安の動きには配慮しているが、円安で経済成長が高まり、そして賃上げの原資になる企業利益が増えている点を重視しているとみられる。経済成長が続けば、人手不足がより強まり、岸田政権が重視する賃金上昇を後押しする。現行程度の円安は、政治的にも大きな問題にはなっていないのが実情ではないか。
しかも、4月10日に発表されたアメリカの3月コアCPI(食品とエネルギーを除く消費者物価指数)が前月比0.4%上昇し、3カ月連続で市場を上回る伸びとなったことで、FRB(連邦準備制度理事会)による利下げは秋口以降にずれ込みそうだ。ドル円相場は一時1ドル=153円台まで円安が進んだが、アメリカの経済が強すぎるゆえのドル高なのだから、日本経済や株式市場にとって望ましいと筆者は考えている。
円安を問題にする論者は、「通貨安=国益低下」という信条を持っているか、あるいは長年のデフレに適応して現預金を蓄積したため通貨価値が減ることに我慢がならないのかもしれない。実際には、日本経済でインフレが定着しつつある中で、インフレ期待の高まりが通貨安を後押ししているとみられ、そうであればむしろ好ましい事象だろう。
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