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「日米蜜月」アピールと裏腹に進む「外交の新潮流」 内政に翻弄される岸田首相の「次なる外交課題」

東洋経済オンライン / 2024年4月16日 8時30分

日本に引き寄せて考えれば、外交の中核に日米同盟があることに変わりない。

しかし、オバマ大統領が「アメリカは世界の警察官をやめる」と宣言し、続くトランプ大統領が「NATO(北大西洋条約機構)離脱」や「在韓米軍撤退」などをぶち上げて関係国を大混乱に陥らせたことを思い起こせば、「日米関係が良ければ良いほど、中国、韓国、アジア諸国との良好な関係を築ける」(2005年に当時の小泉首相)というような時代はとっくに終わっている。

秋の大統領選でトランプ氏が再選されれば、アメリカの外交政策の予見可能性は再び下がる。そうした状況を、ただ指をくわえて見ているわけにはいかない。日米同盟関係強化をうたう共同声明の内容とは裏腹に、日本政府内にはアメリカに対する不安や不信感が渦巻いており、「日米同盟一本やり」という考え方は姿を消している。

だからこそ逆説的な話ではあるが、アメリカに対しては大統領が誰になろうとも良好な関係を維持できるよう万全の関与を提示するが、同時進行で仮に日米関係が不安定化しても他の国々との関係を構築することで、危機をしのぐことができるようにしておくのだ。

アメリカだって多極化を進めている

実は、似たようなことをアメリカ自身も進めているのは周知の事実である。

一昔前のようにアメリカが号令をかければ同盟国が黙ってついてくるという時代は終わった。そのため米英豪のAUKUSや日米豪印のQUADをはじめ、さまざまな国家グループを作って自らの限界を補い、リーダーとしての立場を維持しようとしている。まさに「プルリラテラリズム」の時代なのである。

もちろん、こうした外交は過渡的なもの、一時的なものであって、中長期的な地域の安定や世界秩序などを構築できるわけではない。

日本の場合はアメリカの政権がどう変わろうとも、日本の安全保障を実現するため、言いかえれば中国に対する軍事的抑止力を何とか維持して最悪の事態を防ぐための当座しのぎの政策である。

問題はそれが軍事に偏り過ぎていることであろう。

主要国と中国との関係を見ると、最も緊張関係にあるアメリカはブリンケン国務長官と王毅外相が電話を含め会談を繰り返すなど、閣僚クラスの要人が頻繁に接触し、各分野での交渉や協議を続けている。

欧州との関係にも変化が生まれており、今年に入ってオランダのルッテ首相が訪中し、4月にはドイツのショルツ首相が訪中した。そして習近平主席のフランス訪問も検討されている。

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