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「旧ジャニーズ問題」がまだ解決とはほど遠い理由 STARTO社とSMILE-UP.社の「切り離し」が焦点

東洋経済オンライン / 2024年4月16日 16時30分

ジャニー喜多川氏以外にも性加害を行ったスタッフがいたことは、文春が以前に報じていたし、再発防止特別チームの報告書にも記載されている。つまりは既知の情報だ。

再発防止特別チームが行った聞き取り調査は、43名(内、被害者等23名、事務所関係者18名)に過ぎない。1000人以上の被害者がいることが想定されている現状で、全貌が明らかになっているとは言いがたい。

しかしながら、日本では「徹底的な調査を行うべき」という論調にはなっていないし、政府も介入する気配は見られない。ジャニー喜多川氏以外の加害者の存在が問題視されることはなかった。SMILE-UP.社が警察に報告をして、警察が本格的に捜査を行うとなると、まだ明るみに出ていない事実が明らかになる可能性もある。

対応が適切かどうかはさておき、SMILE-UP.社としては、「自分から寝た子を起こすことはしない」ということなのかと感じてしまう。

STARTO社はSMILE-UP.社と切り離されているとは言いがたい

そして、2番目の論点だ。STARTO社はSMILE-UP.社は、いずれも旧ジャニーズ事務所だが、2社は完全に「別物」である必要がある。筆者は、事態を収束させる方法は別会社を設立することしかなかったと考えており、この困難な道を選択したことは、英断だったと評価している。

STARTO社はSMILE-UP.社は2段ロケットのようなもので、SMILE-UP.社を切り離すことによって、STARTO社が推進力を得て、エンターテインメント企業として離陸することが可能になると思う。

ところが、以下の点において、両社が完全に切り離されているのか? あるいはいずれ切り離されることになるのか? という点が不透明に感じている。

① ファンクラブの運営主体
② 知的財産の所在
③ 人員体制
④ 資本関係、資産調達

① のファンクラブの運営主体については、STARTO社がSMILE-UP.社とライセンス契約することで運用すると表明されている。これは、芸能ジャーナリストの松谷創一郎氏が詳しく論じ、批判もしているが、経営が完全に分離しているとは言いがたいのが現状だ。

② の知的財産権については、原盤権やグループ名やロゴなどの商標が知的財産にあたるが、これの所在が不明であり、依然としてSMILE-UP.社が保有しているとみられる。

4月15日、SMILE-UP.社は同社のサイトで、ファンクラブと版権に関する方針を発表した。ファンクラブは、本年夏にSMILE-UP.社から分社化すると発表。当初は同社が株主となるが、段階的に株式の保有割合を減らしていくとしている。音楽原盤などの版権に関しては、現在はSMILE-UP.社と株式会社ブライト・ノート・ミュージック(旧ジャニーズ出版)が共同保有しているが、段階的に保有割合を減少させていくとしている。

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