海外での腎臓移植を望む50代女性が陥った"罠" 海外「臓器売買」の闇を追う調査報道のきっかけ
東洋経済オンライン / 2024年4月17日 18時0分
「海外移植で臓器売買か 都内NPO仲介 困窮ドナーに200万円」。これは2022年8月7日、読売新聞がスクープとして、朝刊一面に掲載した記事の見出しです。
内容は日本人患者4人が腎臓移植を受けるため、都内にあるNPOの仲介で中央アジア・キルギスに渡り、うち1人が現地の病院で移植手術を受けたところ、一時重篤な状態に陥った、という情報提供をもとにした調査報道でした。
ドナーになったのは経済的に困窮していたウクライナ人女性。金銭を目的とする臓器売買は非人道的だと世界中で激しく非難されていますが、日本国内ではドナーが不足していて、法の不備をつく形で不透明な海外での臓器移植が見逃されてきた現状があります。
報道をきっかけに警視庁が動き、2023年2月にはNPO理事長がベラルーシで別の患者に無許可で臓器を斡旋した罪に問われて逮捕。移植されたのは死者の臓器だったとされ、患者はその後死亡しています。
本記事では、報道のきっかけとなったキルギスでの臓器移植について『ルポ 海外「臓器売買」の闇』から一部を抜粋、再編集し、前後編・2回に分けて掲載します。今回は前編です(後編はこちら)
キルギスへ渡った50代女性
「心配なんだけど……」
【写真】腎臓移植を望む本田さんがキルギスで入院していた病室がこちら
窓の外は寒々しい景色だった。雪までは降っていないが、気温は1ケタ。特に朝と晩は冷え込んだ。
2021年12月16日。この日、中央アジア・キルギスの首都ビシケク市内にある病院に入院した本田麻美(57、仮名)は、4階の病室で不安を募らせていた。
「この病院で本当に大丈夫かしら……」
病院は6階建てで、日本で臓器移植手術を手がける病院とは比べものにならないほど小さな病院だった。外壁は薄汚れており、部屋に設置されたシャワーはお湯が出なかった。
病室では、先に腎臓移植を受けたイスラエル人女性が苦しそうにしていた。激しい痛みがあるのか、ベッドの上でイモムシのように悶え続けていた。
イスラエル人女性の手術を執刀したのは、本田の執刀医となるエジプト人の男性医師だ。50代で、腕のいい軍医だと聞いたが、本当かどうかはわからなかった。
本田が「心配なんだけど……」と通訳のカタリナ・カリモワに相談すると、カタリナは「大丈夫ですよ」とほほ笑んだ。
このまま手術を受けるか、それとも、やめるかーー。本田は頭を悩ませながら、それまでの月日を思い起こしていた。
検索したNPOに依頼
この記事に関連するニュース
-
聖マリアンナ医科大学病院の臓器提供施設連携体制構築による「Join」のドナー情報共有の迅速化 10カ月で2件の臓器提供を実施
PR TIMES / 2024年6月28日 18時45分
-
国内の透析製品を製造するバクスター宮崎工場 太陽光発電システム導入で2024年温室効果ガス排出量6.7%減めざす
Digital PR Platform / 2024年6月28日 12時0分
-
生体臓器移植は、性犯罪者が過去を償い再出発する道となるか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月24日 14時30分
-
腹膜透析の治療データを医療者と共有するアプリMyPD が登場 ~CAPD の治療環境もリモート管理で「おうち透析(腹膜透析)」に安心感を~
Digital PR Platform / 2024年6月21日 10時0分
-
いのちをつなぐ社会貢献~ドナー休暇制度導入のお知らせ~
PR TIMES / 2024年6月14日 20時40分
ランキング
-
1「ぐっすり眠れない人」今すぐ摂るべき5つの食材 「眠りを誘うホルモン」が睡眠の質を高める
東洋経済オンライン / 2024年7月6日 21時0分
-
2何もしてないのに「バッテリー上がり」した! 真夏の「突然のトラブル」どう防ぐ? いつか起こり得る「エンジンかからない」どう対処するのがOKか
くるまのニュース / 2024年7月6日 18時10分
-
3日産新型「セレナ“ミニ”」登場は? シエンタ&フリード対抗の「小型ミニバン」は? 実はあった「小さな3列車」 ユーザーの声いかに
くるまのニュース / 2024年7月6日 7時40分
-
4ワークマンの「暑い日に履きたい、通気性抜群のシューズ」3選 980円の「ボーンサンダル」はカワイイ&歩きやすい
Fav-Log by ITmedia / 2024年7月4日 5時55分
-
5値上げラッシュに打ち勝つ!電気&ガス代が家計を圧迫「夏の光熱費節約」プロ技10
週刊女性PRIME / 2024年7月6日 11時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください