コニカミノルタ、富士フと提携協議でも残る火種 ついに事務機改革に着手、過去最大の人員削減
東洋経済オンライン / 2024年4月17日 7時30分
ついに屋台骨にメスが入る。
【4期連続の最終赤字】コニカミノルタの2023年3月期は巨額赤字に沈んだ
コニカミノルタは4月4日、グローバルでの構造改革の一環として、2025年度中の従来計画に対し、正規・非正規合わせて2400人規模の人員削減を実施すると発表した。2024年度中に実行される予定で、グループ横断の構造改革としては最大規模の人員削減となる。
4月15日には富士フイルムビジネスイノベーション(BI)と業務提携に向けた協議を開始したことを発表。複合機や商業産業印刷機の原料・部材調達やトナー開発で連携し効率化を目指す。富士フイルムBIが株式の過半を保有する前提で合弁会社の設立も予定している。屋台骨となる事業で、競合と手を取り合う思い切った判断をした。
「等身大の経営」に向け選択と集中
4期連続で最終赤字に沈んだコニカミノルタは、収益力低下に苦しんでいる。直近の2023年3月期は、2017年に買収で参入したプレシジョンメディシン事業の減損が膨らみ、1031億円の巨額赤字を計上。近年は負債額も増加傾向にあり、2023年12月末時点で8219億円の負債を抱えている。
2024~2026年3月期を対象とする中期経営計画では、従来の拡大路線を改め「等身大の経営」を旗印に事業の選択と集中を進めている。競争力を欠く分野については「非重点事業」として第三者資本の活用を検討している。
人員削減の対象となる2400人は、売上高の過半を占める事務機関連事業と、産業機器など成長が期待される「強化事業」が中心。競争力のある事業で効率化を図ることが目的で、今後想定される「非重点事業」の他社への譲渡による従業員減は含まれていない。削減方法については今後議論されるが、国内は人員補充のための採用を控える、派遣社員の契約を見直すなどが検討されている。
今回の人員削減は、業界の流れに照らせば判断が遅かったといえる。
事務機ビジネスには紙での出力機会が減る「ペーパーレス化」の逆風が吹く。オフィスなどに機器を設置し、保守料金、トナーなど消耗品の料金、印刷量に応じた機器使用料などを受け取る盤石なビジネスモデルは不変だが、印刷量は今後前年比5%ペースで減り続けるとの試算もあり、大きな成長は見込めない。
本格的にペーパーレス化が叫ばれるようになったのが2010年代後半頃だ。事務機業界では大規模な人員削減が相次いだ。事務機は伝統的に日系メーカーの世界シェアが高い。中でも参入障壁の高いA3複合機は、キヤノン、リコー、富士フイルムBI、コニカミノルタの4社が高シェアを誇る。
逆風下で事業転換へ舵
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