「AI美女が荒稼ぎ」独身の中国人男性たちが陥る沼 ミス東大でも注目、ディープフェイクのいま
東洋経済オンライン / 2024年4月18日 11時50分
中高年のおじさんを狙うAI美女にはセクシー美女系と、「あなたのことを誰よりもわかっている」感を出す寄り添い系の2種類の戦い方がある。
後者の代表例は中国版TikTok「抖音(Douyin)」で1000万人超のフォロワーを抱えるアカウント「チョコレート、ミニレモン」で、独身男性に寄り添い、彼らの自己肯定感を高めるようなショート動画を配信している。
人間のトップライバーは情報感度が高く、消費意欲が旺盛な若い女性をターゲットに、高単価のアパレルや化粧品を販売するが、AI美女ライバーたちはおじさん向けにライターやスリッパ、カミソリなど数百円の日用品を売っている。
儲からない商売に見えるが、新浪新聞によると“彼女たち”は1つの商品に最高で50%にも達する高い販売手数料を設定し、しかも若い女性相手のアパレルに比べて返品も極めて少ないため、実はおいしいビジネスだという。
前述の「1980年代生まれのシングルマザー」を名乗るアカウントの昨年12月の販売実績は約500万~1000万円(推定)に上る。
AI美女による配信やライブコマースで楽して儲けようと考える人のために、ネットでは生成AIを用いた美女の作り方から稼ぎ方まで多数の情報商材が売られている。その内容は玉石混淆で、詐欺まがいのものも少なくない。
新技術が登場すると、すぐに悪用例が出るのも中国のお決まりで、2023年5月末には、AIによる顔交換技術を使って有名人になりすまし、中国のライブコマース・プラットフォームで商品を紹介する行為が横行していると、 国営テレビ局が注意を呼びかけた。
顔交換モデル一式は3万5000元(約70万円)で購入でき、リアルタイムで表情などを変化させることも可能だという。
AIを開発する資金力と技術力がない企業・個人向けにこうした著名人顔交換モデルが販売されている。この手法には著作権や肖像権侵害の疑いがあり、消費者にAIを使っていると告知していなければディープフェイクに該当する。
2023年8月に規制が施行された
技術の普及、悪用だけでなく規制も早かった。
中国のサイバー空間規制当局である国家インターネット情報弁公室は2023年1月、ディープフェイクを利用した偽情報の発信などを禁止する規定を施行し、AIによる合成技術を使った画像や音声、動画をサービスとして提供する場合、その旨を明示することを義務付けた。
中国版TikTok「抖音」は2023年5月、生成AI、ディープフェイクなどを使ったコンテンツ配信のルールを公表、配信者にはAIを使用していることの明記、コンプライアンスの順守などを求めた。中国版インスタグラム「小紅書(RED)」は、AI技術を使ったと推定される投稿に運営会社がラベルを加えている。
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