1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

大日本印刷にマネックス系ファンドが株主提案 経営学者、楠木建氏の社外取選任で経営改善狙う

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 17時30分

そもそも、DNPを巡っては、以前からガバナンスに関する問題点が指摘されてきた。2018年に就任した現社長の北島義斉氏は、前社長で今年2月に亡くなるまで会長だった北島義俊氏の息子。その義俊氏も父の跡を継いで社長に就いた。つまり、DNPでは3代にわたり、父親の跡を息子が継ぐ”世襲”が続いている。

2023年6月の定時株主総会では、「取締役会の構成が当社の議決権行使方針の多様性要件を満たしていない」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント)、「政策保有株式に関する基準」(しんきんアセットマネジメント投信)などの理由から、北島社長の再任に反対票が投じられた。

結果として社長再任自体は可決されたものの、賛成率は82.7%まで低下した。2022年6月には同88.2%、2021年6月には同95.2%だったことを考えれば、株主からの信任は徐々に失われつつあったといえる。

今後はDNPの取締役会が株主提案に賛同するかどうか、現経営陣の判断を踏まえて株主がどう判断するかが焦点となる。ファンド側の勝算はどの程度あるのだろうか。

マネックス・アクティビスト・マザーファンドの持ち分はそう大きくない。直近の開示によれば、保有している議決権は0.3%程度と推定され、単体での賛否への影響力は乏しい。

カギを握る外国株主の賛否

ただ、DNPの株主構成を見ると、モノ言う株主として有名なアメリカのエリオット・マネジメントが4%前後の議決権を保有しているとみられるほか、外国株主の比率が約27.8%(株式数ベース)と高い。外国株主は米ISSなど議決権行使助言会社の影響を受けやすく、ファンド側につきやすい。

上位10位の株主には、第一生命保険やみずほ銀行など金融機関が名を連ねる。こうした大株主などからの賛成を取り付けることができれば、経営陣が反対しても勝算がぐっと高くなる。

株主の3分の2以上の賛成が必要となる定款変更と比べて、過半数で可決される取締役の選任議案はハードルが低い。しかも、提案を受ける側の企業にとっては提案を拒絶する理由をつけるのが難しく、比較的ファンド側が勝ちやすいといわれている。

一連の提案に関し、東洋経済はDNP側にコメントを求めているが現時点で回答は得られていない。

創業明治9年(1876年)の老舗企業は株主からの提案にどう対応するのか。今後の展開が海外投資家も含めた資本市場からの関心を集めそうだ。

梅垣 勇人:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください