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「ケンタとローチケ」炎上したアプリ改悪の共通点 企業と消費者のコミュニケーションが遮断された

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 18時30分

話題のKFCアプリを実際に触ってみた。開くとまず、画面上部に「まずは受取方法と店舗を選択」の説明文とともに、「注文する」のボタンが表示される。それを押すと、「お持ち帰り」か「デリバリー」を選択する画面が現れ、いずれか選択すると、店舗選択画面が現れる……と、階層は何段階も深くなるものの、なかなか商品にはたどり着かない。

改めて、トップ画面に戻って、下部へスクロールすると「メニュー」のタイル画像があった。そうそう、これが知りたかったんだよ、とタップするも、また「お持ち帰り」「デリバリー」の壁が立ちはだかる。

軽減税率や商圏の関係で、価格が一律でないのは理解できるが、ただ単に「どんな商品が出ているか」が知りたいだけでも、これだけの手間を求められてしまう。

また、あらゆる画面で会員ログインを求められるが、これまでのデータは消えているため、手こずるユーザーも少なくないだろう。「パスワードは覚えておいてよ」とKFC側は思うかもしれないが、リアルなユーザーはこんなものではないだろうか。

ネットメディア編集者である筆者の感覚からすれば、「改悪」だの「劣化」だのといった表現は、冗談まじりのネットスラングとして、一般的なイメージよりフランクに使われている。とはいえ、実際にアプリを使ってみると、今回の「改悪」は誇張ではなく、まさに……という感想だ。

筆者は数カ月前まで「KFC店舗から徒歩5分」に住んでいたので、旧アプリの使い勝手は、それなりに理解しているつもりだ。まだ新アプリを店頭で使ったことはないが、ちょっと触っただけでも、大きく利便性が損なわれていることはわかる。

突然の仕様変更で、愛着すら消えてしまう危険性

そして、そのうえで感じるのは、これは「単なるアプリの改悪」にとどまらないのではないかという懸念だ。今まで築いてきた、企業と消費者のコミュニケーションや信頼関係が、今回の件をもって崩れ去ってしまったのではないかと感じるのだ。

実店舗やデリバリーでの商品提供のみならず、その注文過程も「購買体験」の一環となる。KFCアプリには、以前より購入頻度に応じたマイレージプログラムが用意されているが、これもまたユーザーの愛着を増す施策と言えるだろう。

ゆえに、突然の仕様変更によって、愛着すら消えてしまう危険性がある。これはKFCのみならず、実店舗とECなどを両面展開し、その結節点にスマートフォンを位置づけている企業であれば、さほど珍しい話ではない。

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