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「野球ビジネスを変えた男」が群馬で挑む球都再生 千葉ロッテ、パ・リーグ、侍ジャパンの次は…

東洋経済オンライン / 2024年4月21日 11時50分

その後、UUNETを買収したMFSというアメリカの通信会社が日本法人を設立することになり、その立ち上げに加わる。さらに1998年には欧州最大手の通信会社であるドイツテレコムの日本法人に転職し、のちに同法人の代表取締役CEOになる。

40歳を過ぎて「野球の虫」が騒ぎ出す

インターネット技術のトップランナーとして走ってきた荒木氏だが、40歳を過ぎて、突如「野球の虫」が騒ぎ出すのだ。

きっかけは2004年の「球界再編」だった。

「いったい何が起こっているのか知りたかったのですが、当時はまだメディアの情報量も多くなかった。そこで故広瀬一郎さんが東京大学でやっていたスポーツマネジメントスクール(SMS)に入りました。講師の一人にプロ野球選手会の弁護士がいたからです」

広瀬一郎氏は元電通マン。スポーツビジネスの世界で活躍するとともに、日本に本格的な「スポーツマンシップ」の考えをもたらした人物としても知られる。

「この講座で、毎回、広瀬さんにしつこく質問をしている年配の人がいたんです。元国税庁長官の濱本英輔さんでした。話をするようになって『球団ビジネスはこうあるべきでは』って話したら『じゃ、それやってくれよ』と言われた。濱本さんは千葉ロッテマリーンズの社長に就任されたばかりだったんです」

荒木氏は、人生の岐路で「野球のある方」につながる運命にあったのだろう。

「ちょうどボビー・バレンタインが監督になった。英語も使えるな、と思いました」

千葉ロッテで経営状況を大幅に改善

千葉ロッテマリーンズに入ったときは、部下もなく、机さえなかったが、そこから荒木氏は持ち前の実行力で営業、企画、マーケティング部門を巻き込んでいく。

筆者は「『札幌ドーム』と『日ハム新球場』の残酷な明暗」で「指定管理者」について取り上げた。従来は公施設の管理業務は、公共的団体、第3セクターなどに限定されていたが、小泉政権の規制改革によって、営利企業など「法人その他の団体」に包括的に代行させることができるようになった。

千葉ロッテは日本野球機構(NPB)で初めてこの制度を利用して2006年に千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)の「指定管理者」になった。荒木氏の戦略はまさにこの指定管理者と顧客を把握するためのCRM(顧客関係マネジメント)システムの二本柱に据えた。

「『指定管理者』は、一般的には地方公共団体から指定管理者が委託料を受け取って管理、運営を任されますが、マリーンズの場合、委託料を受け取らない代わりに自らがリスクを取って事業を推進していくための契約を結びました。これによって球場内での飲食、物販、広告看板の販売など包括的なビジネスができるようになり、経営状況は大幅に改善されました」

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