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「金利のある世界」が到来したら起こる生活の変化 日銀正常化によって、日本はどう変わっていくのか

東洋経済オンライン / 2024年4月22日 10時0分

(写真:tabiphoto/PIXTA)

日本銀行がマイナス金利政策を解除して、まもなく1カ月になろうとしている。17年ぶりの利上げとなったものの、植田和男日銀総裁の采配で、金利市場や為替市場に大きな変動をもたらすことなく、穏やかに政策変更ができたとして高い評価を国内外から得ている。

植田総裁が述べたように、普通の中央銀行の姿に戻るきっかけとなることは間違いないだろう。とは言え、その道のりは極めて困難で遠い可能性が高い。17年間の金融緩和政策によって、日本政府は莫大な国債を発行することが可能となり、累計の財政赤字はGDP(国内総生産)の2.6倍にもなってしまった。

アベノミクスの10年間で、日銀は政府が発行する国債を購入し続け、株式市場のETFやREITなども購入し続けて、景気回復にトライしたものの、その成果はいまだにはっきりしない。日銀正常化によって、日本はどう変わっていくのか……。国際的にスタンダードな「金利のある世界」を演出できるのか……。日銀正常化の影響について考える。

急激な利上げは中央銀行の「逆ザヤ」を招く?

日銀が今後、金利を上げていくとしたら、どの程度のペースで、どこまで金利を上げていけるのか。大和総研のメインシナリオでは2024年10〜12月期には短期金利で「0.25%」、2025年以降は年2回のペースで年間「0.5%」程度引き上げていくとシミュレーションしている(大和総研「日本経済見通し:2024年3月」)。他社のシナリオでも、今後は徐々に金利引き上げを図っていく、と予想しているところが多い。

金融引き締めに転換したものの、日銀は相変わらず「大規模緩和の状態は続けていく」と宣言しており、金利のある社会への転換は簡単ではなさそうだ。しかも、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、インフレ収束を示す兆候がなかなか出てこないために金利引き下げが遅れ、日米の金利差は一向に縮まらないのが現状だ。

日米の金利差が縮小しなければ、ドル円相場はどうしても円が売られていくトレンドになる。実際に、34年ぶりとなる1ドル=154円台をつけてそのままの状態が続いている(4月19日現在)。つまり、世界でこのままインフレが収まらずに金利高の状況が続いた場合、日銀が利上げをしない限り、円はどんどん売られて円安が進むことを意味する。そこで、心配になるのが日銀にどの程度の「利上げ余地」があるのか、という疑問だ。

中央銀行も企業であり、収入と支出があるわけだが、たとえば日本銀行の場合は、保有している資産の債券などから得られる利息が収入となり、支出となるのは一般の銀行が資金を預ける「当座預金」の利息になる。この両者の差が「利ザヤ」であり、通常は当座預金で支払う利息よりも、保有する債券から得られる利息収入のほうが高くなる。実際に、日銀は2022年度末で576兆円の長期国債を保有し、549兆円の当座預金を抱えている。

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