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超人気ラーメン店で「社内独立」師弟の熱いドラマ 「店づくりから味、屋号まで好きに決めていい」

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 9時0分

鈴木さんは「百麺」の世田谷本店で長く店長を務め上げた後、別ブランド「中山堂」を立ち上げお店を任されていた。ここでは「百麺」の豚骨スープに自家製麺を合わせ、オリジナルな一杯を作っていた。

そのまま「中山堂」で独立するという案もあったが、結婚して行動エリアも変わっていたということで、多摩地区でお店を探すことにした。

こうして辿り着いたのが多磨霊園の物件だった。ここから鈴木さんの社内独立店の立ち上げが始まる。

独立というと修業を終えて退職し、開業資金を貯めて、物件を見つけて一から店づくりをするというのが当たり前だった。開業資金は安くても400万~500万円。1000万円かかるというパターンもザラである。

昨今、ラーメン店の廃業が盛んに取り沙汰されている。その際によく指摘されるのが「参入障壁の低さ」だが、それでも初期費用はかさむのである。当然誰でもできるということではない。

社員として雇用しつつ、頑張れば給料が増える仕組みに

そんななか、「百麺」が社内独立の制度を始めたのはなぜか。

「もともとの入り口は、頑張っている社員の給料を増やすにはどうしたらいいかということでした。

今ある『百麺』のお店の売り上げを一気に倍増させるというのは簡単ではありません。独立志望の従業員に社内独立してもらうことで、会社と従業員それぞれにウィンウィンの形が作れるのではないかと考えたのです」(宮田さん)

独立する店主は店づくりや味づくりなどは行うが、経理などの事務系の仕事は本社に任せることができる。店主は今までどおり「店長」のような働き方で自分の店を持つことができるのだ。

また、「百麺」では、売上から月額の固定費(出店にかかった費用はここで消化していく)を引き、残りの売上はすべて店主に戻す形にしている。社内独立なので、雇用は「百麺」の店長時代と変わらないのもポイントだ。

「売上に合わせてロイヤリティで納めてもらうことも考えましたが、できるだけお店が売れれば売れるほど給料が上がる形にしたくて、今の制度を採用することにしています」(宮田さん)

グループに属しながら独立することで、食材などはグループ全体で発注することができ、スケールメリットを出すことができる。保険なども当然割安になる。

「このお店も立ち上げの初期費用で600万円から700万円ぐらいはかかっています。これを個人で負担するのはやはり大きなリスクだと思います。うちの実家も父が事業で失敗したこともあり、リスクが怖かったというのが正直なところです。

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