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ウエルシア「不倫問題」で社長辞任、2つの懸念 松本氏は経営統合のキーパーソンだったが…

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 5時20分

そんな松本氏の辞任で、経営統合の協議に混乱が生じないか懸念される。「今のところは社長職を兼任する池野(会長)が中心となり、影響がないように進めていきたい」(ウエルシアHD広報)。

店舗の差別化策を進めてきたが…

もう1つの懸念が、店舗戦略の行方だ。ウエルシアHDが主戦場とする郊外は現在、人口減少とオーバーストア状態に悩まされている。1店舗当たりの採算性が低下し、打開策を求められている状況だ。

そこで松本氏が掲げてきたのが「健康ステーション」構想。ウエルシアHDが抱える8000人超の薬剤師を核として、健康や美容に関する悩みを何でも相談できる店舗をつくるという。薬剤師が調剤薬局の業務だけでなく、OTC(一般用)医薬品やサプリメントなどのカウンセリング販売を行える体制を目指している。

業界の枠を超えて、医療や介護の領域を巻き込んだビジョンも描いてきた。例えば、ドラッグストア店内で医療機関の遠隔診療を受けられるようにしたり、在宅医療を受ける患者向けの調剤業務を担当したりと、他の医療法人との連携を深めていく方針だ。

自社で展開する介護事業は採算性の低さに悩まされてきたが、同業のM&Aや、イオングループ内での統合も視野に挽回すると打ち出した。ドラッグストアを軸に介護や医療のサービスも提供することで、競合と差別化するというわけだ。

さらに、2023年3月にはたばこの販売中止を発表。前期は400店舗で取り扱いを中止し、残りの店舗でも順次販売を取りやめるという。

昨年12月に実施した東洋経済のインタビューで、松本氏は「ドラッグストアはどこでも同じで、欲しいものが安ければよいというのでは不十分。健康に対するサポート、アドバイスをあらゆる面から行える存在になりたい」と語っていた。

キーパーソンが退場、店作りは道半ば

オーバーストア状態が指摘される中でも、業界の出店競争は激化している。業界4位のコスモス薬品は2023年5月期に114店純増となったが、ウエルシアHDは2024年2月期に62店純増と見劣りする。

出店数に加えて、既存店の売上高伸長率も、食品の安売りを軸に客数を伸ばすコスモス薬品に軍配が上がる。競合に対抗できる店舗づくりはウエルシアHDが直面する重要課題だ。

多様な店舗戦略を進め、クリーンな企業イメージの形成にも努めてきた中、今回の不倫騒動が明るみになってしまった。競合幹部からは「1兆円企業の社長として脇が甘かったのではないか」と冷ややかな声が上がる。

理想の店づくりは道半ばだ。松本氏の辞任で会社の経営方針は揺らぎかねない。ウエルシアHDは早急に後任を決定し、経営統合や店舗改革に臨む必要がある。

伊藤 退助:東洋経済 記者

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