1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

専業主婦から「アンダークラス転落」への危険経路 貧困に陥りやすい女性の構造的な原因

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 16時0分

父親の学歴とアンダークラス比率の間にははっきりした関係がなく、高校程度の場合がやや高くなっている。これは少し意外な結果だが、アンダークラスをシングルマザーとそれ以外に分けて分析すると、父親の学歴が低いとシングルマザーのアンダークラスになりやすいことが確認される。

15歳当時、つまり中学3年生当時のくらしむき別にみると、家が豊かだった場合と普通だった場合の間ではほぼ違いが認められないが、家が貧しかった人はアンダークラスになりやすいことがわかる。

中退者のアンダークラス比率の高さ

本人の学歴は、卒業した場合と中退した場合を区別しておいた。中学卒の人は明らかにアンダークラスになりやすく、高校卒以上の場合では、学歴が高いほどアンダークラスになりにくいことがわかる。しかしショッキングなのは、中退者のアンダークラス比率がきわめて高いことである。

高校を中退した人は、77.3%までがアンダークラスになっている。短大・高専・専門中退(63.5%)、大学中退(51.8%)と、中退した学校段階が高くなるとアンダークラス比率が低くなる傾向があるが、高校卒よりは学歴が「上位」であるはずの大学中退者でも、アンダークラス比率が半数を超えている。

卒業から就職までにかかった期間も、アンダークラス比率に大きく関係している。すぐに就職した場合はわずか7.6%だが、1カ月以上経ってから就職した場合には、アンダークラス比率が40%を超えている。「少ししてから」と「だいぶしてから」の間には、ほとんど違いがない。つまりすぐに就職できるか否かが、大きく影響するのである。

学校紹介の有無も、かなり影響が大きい。調査によると、回答者の38.3%が学校紹介を通じて就職しているが、学校紹介があった場合のアンダークラス比率はわずか2.1%である。学校紹介の効果は、とくに高卒者で大きい。高卒者の場合、学校紹介があった場合のアンダークラス比率はわずか1.3%なのに、なかった場合は41.8%である。

以上のように、これまでの研究で指摘されてきた要因は、いずれも初職時点でアンダークラスになるか否かに大きく関係していることが確かめられた。

多くの女性は離死別を機にアンダークラスへと流入してくる。そのようすをみたのが下の図表である。

主婦は危険と隣り合わせの危うい地位

結婚直前の所属階級をみると、半数以上の53.8%までが正規雇用(新中間階級または正規労働者階級)で働いており、非正規雇用だったのは21.2%、無職が22.7%だった。ところが結婚直後には、正規雇用で働いていた女性の大部分が退職して無職、つまり専業主婦となっている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください