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グローバル化が進むと「封建的な世界」になる理由 ナショナリズムこそリベラルな社会の前提条件

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 9時30分

施:2022年の4月に九州大学での授業の最初に、私の話を聞く前のまっさらな状態で、学生74人に聞いたんですね。1つ目はこんな設問でした。「外国や外国の人々との活発な交流が大切だと思いますか」と聞いたら、99%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えました。

2つ目の設問はこうでした。「あなたが望ましいと思う交流のあり方は、タイプ1とタイプ2のどちらのタイプに近いですか」。ここで「タイプ1」は、国境線の役割をなるべく低下させ、人やモノなどが活発に行き交う状態をつくり出し、さまざまな制度やルール、文化、慣習を共通化していくような交流。これは、アンケートには書きませんでしたが、「グローバル化」型の交流ですね。「タイプ2」が、国境線や国籍を維持したままで、また自国や他国の制度やルール、文化、慣習などさまざまな違いも前提としたうえで、互いによいところを学び合う交流。これも書きませんでしたが、「国際化」型の交流を意味します。その結果、「タイプ2」の「国際化」型を選んだ人が95%だったんですね。「タイプ1」はたったの5%でした。

この結果に私は気をよくして、2023年の12月に、学生の卒論の研究を指導しながら、私も自分の科研費を使って学生と一緒に調査をしました。一般社会人300人を対象に社会調査会社に委託して、なるべく日本人のデモグラフィックな縮図をつくり、いまお話ししたものと同じ質問をしてみました。すると、設問2の回答として、「タイプ1」の「グローバル化」型を望んだのは、学生よりも少し多くはありましたが16%で、「タイプ2」の「国際化」型を望んだのは84%でした。

中野:その意味するところは、大学を卒業するとグローバル化するってことですね(笑)。

高校までの日本の学校教育は「国際化」型

施:おそらくそのとおりで、高校までの日本の学校教育は、「国際化」型でやっているところが多いんです。実際に教科書を調べてみたら、小中高では、だいたい「国際化」型の、違いを認め合いましょうという話で進められている。逆に大学は「グローバル化」型になっています。なので、九大ではまだ高校を出たての子たちに聞いたので、「国際化」型と「グローバル化」型を比べると95対5になったと言えるかもしれませんね。

ただですね、300人のほうの調査で見てみますと、統計的にはおそらく有意ではなさそうですが、日本は欧米で言われているのと違って、高学歴の人のほうが、どちらかといえば「国際化」型のほう選ぶ人が多い傾向があると言えるかもしれません。まだきちんと分析していないので結果の数字を眺めたうえでの推測にすぎませんが。

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