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中途採用にはびこる「お粗末な」経歴詐称の実態 立派な実績なのに「仕事がイマイチ」でバレた嘘

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時0分

まだ試用期間中だったAさんは、即日解雇となった。その後、本国に帰ったのかどうか消息は定かではない。

経歴について問われ「まさかの」逃走

私自身、経歴詐称の事案は初めてだったゆえ、少々面食らった。こんな大っぴらな嘘が、一部上場企業の採用現場でまかり通るなんて、信じがたい。

そこで知り合いの人材エージェントや他社の人事に聞いてみると、意外にも「経歴詐称されるケースは少なくない」というのだ。

あるエージェントの担当者は、紹介した女性Bさん(30代後半)が経歴詐称をして大変な目に遭ったと教えてくれた。

有名私立大卒で数々の大企業で実績を上げていたBさん。面接での受け答えもしっかりとしており、企業から即オファーが来て入社に至った。

だが、実際はまったくもって仕事ができなかった。

実力を期待して新規プロジェクトのリーダーを任せたものの、一向に仕事が進まない。それどころか、指示したことさえも満足にできなかった。

「これはさすがにおかしい」と感じた直属の上司が本人に経歴の真偽について問うたところ、突然、自分の荷物を持って逃げ出したのだ。

会社を出ていったのかと思いきや、どうも社内にある倉庫に逃げ込んでいた模様。倉庫にあった作業服とマスクで変装し、何食わぬ顔で会社を出ていったようだった。

変装した彼女らしき人物を見たという社員の情報でわかったが、あまりにも稚拙で、奇想天外な行動に上司も同僚スタッフも度肝を抜かれた。言うまでもないが、彼女は二度と会社に現れることはなかった。

エージェントはすぐに代わりの候補者を人選したが、クライアントからの信用はガタ落ち。契約上、後任の候補者の成約料はもらえなかったそうだ。

「経歴を少しでもごまかしたら即ブラックリストに載せる」

要注意人物をリスト化しているというエージェントもいた。一度でも危うい人物をクライアントに紹介したら、自社の信用問題にかかわる。もっともだと思った。

紹介を受ける側の人事としても、候補者を事前に厳しい目でチェックしてくれると助かるのは事実だ。

開発者を装う「実績詐称」まで登場

経歴詐称も問題だが、嘘の実績を語ってアピールする、「実績詐称」も厄介だ。

これは、私自身がとあるベンチャー企業で中途採用をしていたときのこと。経験豊富なマーケティング職を募集したところ、40代男性が応募してきた。

経験も実績も申し分ない。「これは期待できそうだ」と、早速私と部下の人事2名体制でオンライン面接を行った。

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