新潟市がiPadを使った「教育DX」成功できた理由 iPad導入で空いた時間を授業準備に充てられる
東洋経済オンライン / 2024年4月25日 14時0分
しかも、教室の生徒が一斉に1つのボードを編集できるアプリ「フリーボード」を使っており、アイデアから制作まで、生徒間で確認しながら進んでいくため、良い色使いやテクニックを真似て、教室全体の完成度が上がっていく様子が興味深かった。
「やさしいDX」が成功した理由
新潟市で、GIGAスクールに関連して、教育のDXの先頭に立ってきたのが、新潟市教育委員会で2024年3月まで教育次長を務めてきた池田浩氏。
「誰ひとり取り残さない、が新潟市の取り組みのキーワードでした。この『誰ひとり』の対象は、子どもたちのことだと多くの人が思われるでしょうが、ここには教職員も含まれるよう、注意してきました」(池田氏)
1985年に中学校の技術課の教諭としてキャリアをスタートした池田氏は、中学校の校長まで務め、2012年に新潟市教育委員会に転属となった。
現場を知りつつ、行政も知っている、そんな異例のキャリアを持つ池田氏だったからこそ、子どもたちと教職員の双方を取り残さない、教育のDXの設計に携われたという。
「教育の方針としては、幼稚園から社会人になるまでを見越した、情報活用能力を、みんなで育んでいくこと、としました。
これからの社会をたくましく生き抜く力を、小学校・中学校という時間の縦軸と、子どもたちの教育空間・生活空間という横軸の、双方で広げていけることを設計に盛りこみました」(池田氏)
そのため、学校内だけでなく、図書館、公民館といった新潟市の関係施設にWi-Fiを導入。学童保育も例外ではなくなった。学びの時間だけでなく、遊びの時間にも、iPadを深く活用してもらえるようにしたという。
池田氏の取り組みは、単なるタブレットの一部授業への導入という部分的なデジタル化ではなかった。
学校での授業全体、教職員の業務全体、そして家庭を含めた子どもたちの生活全体に対して、どのようにデジタルを浸透させるか、という「全体最適によるDX化」を考えたからこそ、成功した。
持ち帰り前提のiPad、脅威の故障率2.34%
新潟市がGIGAスクールで選んだ端末はアップルのiPad。アクセシビリティ(直感的操作)、起動の速さ、iCloud同期、そして壊れにくい、という特徴から選定したという。
これまでのところ、iPadの故障率は全体の2.34%と、驚異的な低さを保っている。池田氏によると、故障の内訳は落下による画面破損が7〜8割だったという。
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