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東大生解説、米「221年ぶりセミ大量発生」驚く真相 1兆匹との予測も!「素数」で読み解くメカニズム

東洋経済オンライン / 2024年4月25日 11時0分

実は、現在この周期ゼミは、今年同時に発生する13年周期のものと、17年周期のもの以外ほぼ絶滅してしまったといわれています。元々、周期ゼミの周期は12~18年と幅広く存在していましたが、この数百年の間に12年周期や14年周期のセミなどはその多くが絶滅してしまい、「13年」「17年」の2種類が残ったのです。

いったいなぜなのか。実はここに、「数学」の謎、そして面白さが隠れているのです。

「1803年から2024年までの間に、何回ほかの他の周期ゼミと羽化のタイミングが被ったか」を数えてみました。

12年周期:17回

13年周期:4回

14年周期:6回

15年周期:7回

16年周期:7回

17年周期:1回

18年周期:10回

12年周期のセミは221年間で17回もあるのに対し、17年周期のセミはたったの1回です。13年周期のセミも4回と、他の周期ゼミよりもその値が小さいことがわかります。

冒頭でも記したとおり、周期ゼミは集団で仲間を作っています。つまり、別の集団と同時に地上に現れると、お互いを攻撃し合い、片方が絶滅したり、はたまた両方とも絶滅したりしてしまうことがあるのです。

ゆえに、他の周期ゼミと羽化のタイミングがあまり被らない13年周期と17年周期の2種類のセミが、現代まで絶滅せずに残っているのです。

13と17の共通点は「素数」

では、なぜ「13」と「17」なのか。その理由は、12~18の中で「素数」である数字がこの2つだけであるからです。

素数の定義は、「1とその数以外の約数を持たない」ことです。小さい順に並べると、「2、3、5、7、11、13、17……」となります。

例えば、12は2でも3でも4でも6でも割り切ることができますが、13はこのどの数字で割っても余りが出てしまいます。この「約数を持たない」という性質が、周期ゼミの生き残りにつながっているのです。

12年周期のセミと14年周期のセミは、12と14の最小公倍数である84年に1度周期が被ります。ましてや、12年周期と18年周期であれば36年に1度、つまり出現する3回に1回は被ることになるのです。

これに比べて、17年周期のセミは、12年周期のセミと204年に1度しか羽化のタイミングが被りません。18年周期のセミとはなんと306年も被らないのです。

このように計算してみると、他の種のセミに邪魔されずに生きられるのが一目瞭然でしょう。

さまざまな研究が行われている素数

「素数」は多くの数学者が注目する分野であり、さまざまな研究が行われています。

有名なもので、「ゴールドバッハ予想」という法則があります。これは、「4以上の偶数はすべて、2つの素数の足し算で表せる」という法則です。この法則は、数学者クリスティアン・ゴールドバッハによって300年ほど前に提唱されたものですが、いまだにこの予想は証明されていません。素数についての研究は、まだ続けられているのです。

このように、数学マニアのもののように見える「素数」ですが、今回紹介したセミの例のように、実はこんな身近なところにもその仕組みが活用されています。

永田 耕作:現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長

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