加速する事務機再編"三つどもえ"の最終戦争 儲かる斜陽事業「温存」に向けた連携拡大は必至
東洋経済オンライン / 2024年4月25日 7時40分
大きい順に並べるとキヤノン、リコー、コニカミノルタ、京セラ、富士フイルムBIだが、協業企業を合わせれば単純計算でリコー・東芝テック連合が23%、コニカミノルタ・富士フイルムBI連合22%となる。富士フイルムBIはアメリカ・ゼロックスをはじめOEMでの機器提供が多いため、実際のシェアはより大きくなる。
事務機ビジネスはオフィスなどに機器を設置し、機器の保守料金、印刷量に応じた機器使用料、トナーなど消耗品の料金を受けとる形式が一般的で、安定性が高いとされてきた。
しかし、事務機市場にはペーパーレス化の逆風が吹いている。スマートフォン、タブレットなどの端末やクラウドサービスの普及により、紙での出力機会が減っているからだ。在宅勤務の定着によるオフィスへの事務機設置台数の見直しも打撃となっている。
日系メーカーによる事務機の出荷金額は、2015年を境に減少に転じている。過去2年間は、新型コロナの流行に付随する半導体など部材不足や物流混乱で出荷が減った2020~21年の反動増があった。しかし特殊要因がなくなる2024年以降は、再び過去の縮小均衡状態に戻ると予測される。
逆風を前に事務機各社は、事務機以外の事業を拡大したり、効率化を図るための人員整理を行うなどの対策を進めてきた。
事務機への依存度を抑えてきたが
リコーは2017年から事務機の拡大路線を見直し、ITサービスの販売を強化する方針を明確にした。従来は全社売上高に占める事務機関連の比率が6割を超えていたが、2022年度は事務機関連が4割まで減少、並んでITサービスが4割強を占めるまでになった。
富士フイルムでは、グループ売上高に占める富士フイルムBIの割合は2023年度で3割弱。2021年に日立製作所の画像診断関連事業を買収して規模を拡大させた医療機器や、増産投資や買収で規模を拡大している半導体材料などが成長柱だ。キヤノンはプリンティング事業が売上高の過半ながら、オフィス複合機関連が全体の2割超となっている。
一方のコニカミノルタは事務機などオフィス関連が売上高の過半を占めており、依然として屋台骨である。
市場が縮小する中、競合同士がしのぎを削って疲弊しては元も子もない。過去には経済産業省が、国内企業同士のシェア争いに懸念を表明したことがあった。優位性がある事務機分野で競争力を失うことになれば国益が損なわれる、という危機感があったためだ。
各社における事務機の売上比率が決して低くないことが、再編の難しさに繋がってきた。しかし縮小市場を前に、ここにきて合従連衡が動き出した格好だ。
中途半端な提携では効果が薄い
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