「JALとANAの天下りは問題」、空港施設に株主提案 国交省OBの人事介入、社長解任劇に続く第2幕
東洋経済オンライン / 2024年4月25日 7時10分
実質的に解任となった乘田氏は1982年にJALに入社。労務や経営企画などを渡り歩き、2015年からは取締役専務を務めた。2017年に空港施設の副社長となり、2021年からは社長だった。つまりJALは、自社OB社長のクビを切ったことになる。
新体制では、取締役常務だった田村滋朗氏がプロパーで初となる社長に就いた。国交省OBの数も1970年の同社設立以来初となるゼロになった。一見するとガバナンス体制が強化されたかに感じる。
しかしリムは、大口取引先でもあるJALとANAの出身者が役員に天下りしていることにも噛みついた。「利益相反」を生んではいないかと主張しているようだ。実際、コロナ禍ではJALやANA向けに賃貸用不動産の賃料や冷暖房料金の減免をしていた。
東洋経済の取材に空港施設は「現時点ではお答えできることはありません」と述べ、リムの提案への賛否については明かさなかった。なおリムは、「個別の投資先に関してはお答えできない」としている。
「持ちつ持たれつ」を株主はどう判断?
天下り批判や資本効率の改善は機関投資家の支持を得やすい傾向にあるが、提案内容の可決へのハードルは高い。大株主のJALとANAホールディングスが各21%(議決権保有ベース)を保有しているからだ。
また天下りを受け入れているからこそ、安定して空港施設の不動産に入居してくれる。そういう「持ちつ持たれつ」の関係性があることも否定できない。
可決は容易ではないとはいえ、空港施設ひいては航空業界のガバナンスに一石を投じる株主提案となることは間違いない。個人株主などからどれほどの賛成を得られるか、注目が集まる。
星出 遼平:東洋経済 記者
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