facebookで「詐欺広告」が放置され続ける真因 SNS企業の「責任」に関する法律が免罪符に?
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 8時20分
フォレスト氏は、彼の肖像を用いて暗号通貨詐欺へと誘導する広告をメタが掲載したことに対する告発を行う中、オーストラリア国内では問題解決しないことからオーストラリア連邦政府に働きかけ、政府を通じてアメリカ・ワシントン州にて刑事告発していた。
しかしその事前協議の段階で、具体的な審議には進むことができず、アメリカでの裁判を断念した。
立ちはだかったのは、通信品位法の第230条にある「双方向コンピューター通信サービスのプロバイダーは、中傷的または違法なメッセージに対して責任を負わない」という規程だ。つまりアメリカでは法律上、メタのような双方向の情報交換サービス事業者は、投稿されたコンテンツに対する責任から解放されているのだ。
実際にメタ側は、2023年4月~11月の間にフォレスト氏の肖像を使った1000以上の広告がメタの広告として掲載されたことに異議は唱えず、代わりに230条を根拠として自己弁護したという。
アメリカ企業であるメタが公式に、こうした詐欺広告を掲載する業者を「共通の敵」と表現するのは、現地の法律にのっとって運営している通信プラットフォームを悪用された被害者である、という主張があるからと言える。
実は似たような事例はほかにもある。
Amazonマーケットプレイスへの不正な出品者に対し、Amazonの取り締まりが甘いとの批判が数年前に高まったのを記憶している人も多いだろう。
現在、かなりの数の不正出品者がアカウントを削除されたり、口座を凍結されたりしているが、それでもなお、偽のブランド品などを販売する事業者は根絶やしにはなっていない。
Amazonは不正アカウントの検出精度を上げるよう、自動的な審査のシステムを大幅に強化することで対応してきた。それでも根絶やしにできないのは、出品者自身やその商品の審査に関して、Amazonが主体的に関わることを避けたい意図があるからだと考えられる。
対策に取り組むメタの姿勢に疑問も
その根拠はメタの場合と同じだ。通信品位法第230条の恩恵を受けるために、掲載する情報に対して自らが主体的に関わるのではなく、あくまでも通信内容には関与しない立場を貫きたいためだ。
しかしながら、Amazonがマーケットプレイスの出品者の審査を厳しく行うようになったように、通信サービスとしてのブランド価値を毀損せず、ユーザーの離反を引き起こさないためには、メタも何らかの対策を取らざるをえなくなるだろう。
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