TVマン見た「絶滅危惧種と暮す民族」驚く日常(中) ヒマラヤで「高原の王者」野生のヤクと遭遇し…
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 8時1分
ヤクは生息することが厳しい高地に適応するための進化を遂げた、稀有な動物なのである。
村を歩いていると、真っ黒に日焼けした、しわくちゃの老婆たちが道端に座り込んでいた。動物の皮を敷き、糸を紡いでいる。
カナさんが話しかけ、糸の紡ぎ方を教えてもらう。
彼女は世界中の旅先で見つけた骨や石、植物でアクセサリーや染め物を作るハンドクラフト作家。世界中のさまざまな民族の知らない技法の織物などに興味があるとのこと。
「それ、ヤクの毛?」
「そうだと言ってます」
ヤクは寒さから身を守るため、分厚い皮を持ち、その体表はやわらかな内側の毛と外側の硬い毛の2層で覆われている。
チベットの人々は、その毛をより合わせて縄として用い、テントや、毛製品の材料にする。厳寒の高地で進化したヤクの体は、人々の防寒着としても最高の役割を果たす。
カナさんはスピティを回る行商から、ヤクの毛でできたマフラーを購入した。赤・黒・緑・紺の色鮮やかなチベットのデザインがとても美しい。
生まれて初めて見る動物にまたもや遭遇
さらにぶらぶらしていると、軒先にかかる奇妙なハシゴを見つけた。
ハシゴのいたるところにヤクの皮と毛でできた黒い縄が螺旋状に巻かれている。
登る際の滑り止めとして使用しているようだ。
ハシゴに巻きつけられた黄色と黒の虎柄のデザインは、生まれて初めて見た造形で、少し不気味にも感じられた。
やはり、この村には物珍しいものがたくさんあるようだ。
さらに、何か新しいものを見つけるため、村の散策を続けると、またまた、これまでの人生で見たことのない動物の姿が目に入った。
*この記事の前半:TVマンが見た「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚く日常(前編)
*この記事の続き:TVマンが見た「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚く日常(後編)
後藤 隆一郎:作家・TVディレクター
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