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人気の1人前「冷凍食品」開発の裏側がすごかった 定番品に加えて高単価商品のジャンルも拡大

東洋経済オンライン / 2024年4月27日 7時0分

重視したのは、麺にしっかり焼き目を付けて香ばしくすること。ラボでの試作品では焼き目を付けられたが、実際に山形工場のラインで生産すると、思うように焼けなかった。現場に緊張が走った。

焼き目は新商品の重要な特徴で、決して妥協できない。機械をゆっくり動かすことで焼き目を付けられたが、量産には不向き。現場は試行錯誤を繰り返し、季節はすでに夏になっていた。

9月の発売を前に営業からは具体的な注文数が飛んでくるが、注文量に到底届かない。結局、効率よく焼き目を付けるための調整は発売直前まで続き、なんとか出荷にこぎ着けたという。

営業側も発売前に試食などを通じ、競合と戦える自信作であることをスーパー側にアピールして協力体制を構築していた。

売り場ではニチレイの看板商品「本格炒め炒飯」と並べて打ち出した。炒飯は発売から23年間カテゴリーのトップをひた走るロングセラーで、炒飯のファンにあんかけ焼そばをアピールする作戦だった。

目標はロングセラー商品

発売後、あんかけ焼そばは好調に売れ続け、工場の生産も軌道に乗ってきた。今後はさらに認知を広げるために定期的なプロモーションを実施し、顧客満足度調査を基にした細かな刷新も重ねていく考えだ。

蟹沢氏は現在の商品について「生産してみないとわからないこともあった。本当に狙っていた味に向けて、これからも改良を重ねたい」と話す。ニチレイには改善を繰り返してきたヒット商品「本格炒め炒飯」のノウハウがある。次なる目標はロングセラーへの定着だろう。

ワンプレート分野において、ニチレイは複数品目を盛り込んだ商品にも力を入れる。「三ツ星プレート グリルチキントマトソース&カルボナーラ」「三ツ星プレート 厚切りベーコンのグラタン&オムライス」といったラインナップだ。トレイのまま食べられる1人前の商品は、高齢化や単身世帯の増加などを背景に需要が強まっている。

あらゆる食品が値上がりする中、消費者の選別の目は厳しくなっている。その中で、ワンプレートの冷凍食品は優位なポジションにある。

値上げ後に販売が伸びる商品も

消費者のニーズについて、同社執行役員・家庭用事業部長の清川吾朗氏はこう分析する。「簡便、タイムパフォーマンスは間違いなく大事なポイント。その中でもワンプレートは重要な戦略商品。400円台後半など高めの商品を投入しても、今はスーパーのお弁当も600~700円程度なので、冷凍食品を選んでもらえる」。

ニチレイも複数回の値上げを実施したが、販売数量を落とさず、むしろ伸びる商品もあった。外食、中食などと比較して値頃感があるわけだ。

もちろん競合のニップン、ニッスイ、マルハニチロなどもワンプレート商品は重点的に強化している。冷凍食品は簡単、便利で高単価を狙える商品群で成長の余地がある。安かった冷凍食品の逆襲が、これから一段と過熱しそうだ。

田邉 佳介:東洋経済 記者

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