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「キーが打てない」30代男性を襲った"まさかの病" 体験者「安易な自己診断と思い込みには注意を」

東洋経済オンライン / 2024年4月28日 11時30分

と指摘したという。

杉山さんは神経の痛みを改善する内服薬を処方してもらい、クリニックを後にした。

しかし、薬を飲んで3日ほど経っても、症状はよくならない。それどころかしびれは増し、指は曲がりにくくなっているようにさえ感じた。

いよいよキーボードがまともに打てなくなり、「あの医者の診断は本当に合っていたのかな?」と、不安でたまらなくなってきた頃、ある変化が体に起こった。

「問題の指側、つまり右側の二の腕あたりに、『ブツブツ』と、ほんのり赤いふくらみができ始めたのです」(杉山さん)

「これは尺骨神経マヒではない!」

そう確信した杉山さんだったが、さて、どの診療科を受診すればいいかわからない。迷った末、皮膚に症状が出ていることから、皮膚科に行ってみることにした。

結果、皮膚科医は腕のブツブツを見るなり、「あっ、これ帯状疱疹ですね」。まさかの病名を告げられた杉山さんは、「えぇーっ?」と心の中で叫んだという。

そう、手指のしびれや動かしにくさの原因は、尺骨神経マヒなどではなく、帯状疱疹の初期症状だったのだ。杉山さんは帯状疱疹について、ある程度、知っていたつもりだったが、自身の症状がその病気とはつゆほども疑わなかったという。

「帯状疱疹は『高齢者の病気』という思い込みもありました」(杉山さん)

幸いにも、早期に皮膚科を受診したことは大正解だった。帯状疱疹の治療薬である抗ウイルス薬を服用すると、腕のブツブツはまもなく消え、手指の症状も2週間後には完全になくなった。

杉山さんは自戒の念を込めて、こう振り返る。

「この話を友人にすると、みんな最初に診てくれた整形外科医の誤診を批判します。でも、一番の問題は、『この症状は100%尺骨神経マヒだ』と思い込んでしまった自分にあります。ネット検索は便利ですが、安易な自己診断と思い込みには注意しようと、心に誓いました」

総合診療医・菊池医師の見解は?

総合診療医で、きくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師によれば、「帯状疱疹は発疹が出るまで、確定診断ができない病気です。このため、この男性のようなことが少なからず、起こりうる」と言う。

帯状疱疹は「水疱瘡(みずぼうそう)」を引き起こすウイルス、「水痘・帯状疱疹ウイルス」が活性化することで発症する皮膚の病気だ。

「初めて水疱瘡にかかった後、症状が治まってもウイルスは完全に除去されるわけではなく、実は神経細胞に棲み着いて残っています。加齢や過労、ストレスなどで免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが活性化し、病気を引き起こすのです」(菊池医師)

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