5月以降の日経平均上昇を裏付ける「3つの追い風」 今後もドル高円安の大幅修正は見込みづらい
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 9時30分
また、ISM製造業景況指数が約1年半ぶりに50を回復したほか、住宅指標(着工、中古・新築販売件数、建設業者の景況感)も底打ち感が強まるなど、全般的にアメリカ景気再加速の気配が強まっている。
そして4月入り後、一時1バレル=85ドルを超えてきた原油価格もインフレ沈静化を阻害する要因になりつつある。26日に発表になった3月の個人消費支出のコア物価指数(エネルギーと食品除く)も、前年同月比で2.8%上昇している。
さすがにインフレが再加速する兆しは乏しいことから、7月ないしは9月FOMCにおける利下げ開始はありそうだが、それでも年内の利下げ幅は0.5%にとどまると判断される。FRBの利下げが遅々とすることで、日米金利差縮小に時間がかかることを踏まえると、やはり140円を割れるような円高は想定しにくい。
今後予想される日本銀行の追加利上げや長期国債の買い入れ減額(現在は年70兆円強)は、若干の日米金利差縮小をもたらしそうだ。だが、やはり為替市場に与える影響はFRBの金融政策が圧倒的に大きい。
また、構造的な貿易・サービス収支の赤字が需給面で円安圧力を生じさせていることも重要だろう。
2023年以降、貿易赤字の縮小が進む中、旅行収支の黒字幅拡大によって貿易・サービス収支の赤字幅は縮小傾向にある。だが、その他サービス収支が、いわゆるデジタル赤字の拡大によって6兆円程度の流出超となっていることから、貿易・サービス収支の黒字転換は展望しにくい状況にある。
このことは、為替市場において恒常的に実需の円売りが優勢になっていることを意味する(ここでは経常収支における第1次所得収支の利息・配当や直接投資の流出入は実需としと取り扱わない)。これらを踏まえると、日本株に吹く円安の追い風は当分やみそうにないと予想される。
株主還元策強化や半導体需要増も日本株の上昇を後押し
また、資本効率改善を狙った株主還元策も期待される。4月15日に東京証券取引所が発表した「『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』に関する開示状況(2024年3月末時点)」によると、コーポレート・ガバナンス報告書を開示した企業は東証プライム市場の65%(1065社)となり、2023年12月末(49%、815社)から大きく増加した。
全体の傾向としてPBR(株価純資産倍率)1倍未満の企業ほど開示が進んでおり、変革の意思がうかがえる。これまで、必ずしも重視されてこなかった「資本効率」が大きく取り扱われる中、PBR1倍割れの企業はもちろん、資本効率のさらなる改善に意欲的な企業が、これまでとは違った大胆な株主還元策を打ち出す可能性が示唆される。
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