ブランク13年「好きな仕事」で再起した彼女の志 50歳前後の"暗黒時代"、ファッションに救われた
東洋経済オンライン / 2024年4月30日 15時0分
義母と一緒に朝食を食べたら、昼食用のお弁当を渡して出勤。夜ごはんもお皿に盛りつけた状態で冷蔵庫に入れておいて、娘に「帰ってきたらチンして、ばあばに出してあげてね」とお願いする。そんな毎日でした。
「ファッションの力」で救われた
30代40代は、おしゃれ自体への興味こそ失ってはいませんでしたが、今思えば、暗い色の服しか着ていませんでした。
娘からはよく「ママは顔は笑ってるけど、目が笑ってない」と言われていました。無自覚でしたが、きっと疲れていたんでしょう。
家具屋さんや手芸材料店などいくつかのパートを経験。手芸屋さんで働いているときに娘が思春期に突入して、その心配もあって家からの距離が近い施設の受付のパートに変えました。そこがもう一番の暗黒時代でした。
何が落ち込むって、制服が地味で似合わなかったんです。
毛髪の色まで細かく決まっていて、明るくなんてできません。もちろん仕事上の身だしなみは仕方ないことと理解していましたが、身につけるものが気分に直結すると身に沁みました。
あとは女性が多い職場特有の人間関係にも悩みました。噂話や、マウント合戦が苦手な私は、同じパートの女性たちの輪に溶け込むことができませんでした。
合わない仕事に神経をすり減らして自転車で帰宅したら、家の中には思春期のどんよりした娘がいて、そんな娘を塾に送った後は、義母とふたりで黙々とご飯を食べる、みたいな日々。
本当にその頃は毎日が楽しくありませんでした。
仕事再開、離婚、そして独立
これではいけないと一念発起し、48歳のときにセレクトショップの販売員の仕事を始めました。
介護との両立で時間のやりくりは大変でしたが、お店にあるパリコレに出ているようなブランドのキレイな洋服を見ていると、それだけで気分が晴れたことを覚えています。
介護や日々のさまざまなことに追われる中で、ショップで働いているときだけが本当の自分を取り戻せる時間でした。
一方で、夫とはうまくいっていませんでした。浮気をしていることは薄々気づいていましたが、特に何も言いませんでした。家には一応帰ってきていたし、正直私も日々の生活に追われて深く考える余裕がなかったんです。
そうこうしているうちに、夫が自宅に帰ってくる日がだんだん減ってきて、義母が亡くなると家に帰ってこなくなり、1年ほど失踪!?という状況でした。
義母が亡くなった同じ年に今度は私の父親が倒れて亡くなりました。葬儀のあとで久しぶりに夫と会ったとき、ねぎらいの一言でもあるかと思ったら、まさかの離婚の申し出でした。驚きました。
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