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「上司は私」過度な序列意識が部下の恐怖を煽る 感情を排して部下を監督すると何が起きるか

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 8時20分

「垣根を越えてつながる」とは、他者を気にかけることである。他者が何を考えているのか、どのように感じているのか、個人的な目標は何かを気にかけることだと思えばいい。

要は、権力ある立場から判断を下すのではなく、隣に並んで応援する立場をとるのだ。

垣根を越えてつながることで、実際に見たものや思ったことを安心して口にできるようになる。

ほかに誰ひとりそれを見たり思ったりしていなくても、正しいと99パーセント確信できなくても関係ない。

つながることで、多様な考え方や意見のバリエーションを後押しする条件が整う。無気力だった人が行動を起こすようになる。

垣根を越えてつながることは、青ワーク(判断や意思決定)の有効性を高めるカギだ。

また、考えることから、行動を起こす(赤ワーク)ことへの移行が促されるので、赤ワークをやり遂げる力を支える役目も果たす。

「垣根を越えてつながる」ことは、産業革命期に誕生した古いやり方のなかには存在しない。

古いやり方にあるのは「同化」だ。これは、与えられた役割への同化を求められることだ。

私は経営者で、君は従業員。あなたは船長で、私は船員。私は親で、おまえは子供。あなたは先生で、私は学生、という具合だ。

青ワーカーと赤ワーカー、すなわち監督者と作業員に立場が分かれている状況では、垣根を越えたつながりなど不要とみなされるどころか、求められもしない。

職場に「感情」を取り戻そう

何よりも求められるのは、序列のなかの各自の役割に同化することだ。

誰かの下につく立場なら、チームの優秀な一員となることが求められる。

波風を立てる、誰も認めたがらない事実を口にする、上司が決めたことに異を唱える、といった行動は避けなければならない。

上の立場なら、感情を切り離し、部下とは距離を置き、立場と権力を使って部下に作業を強要することが求められる。

産業革命時代の監督者は、職場から一切の感情を排除することを望んだ。

彼らの仕事は唯一、経営者が決めた作業を労働者に行わせることだった。つまり、労働者に作業を強要して統制し、彼らを従わせればそれでよかったのだ。

もちろん、現代ではそうした言葉は使われず、「やる気を鼓舞する」や「刺激を与える」といった表現が使われる。

だがその意味するところは、人を操って何かを強要することに変わりはない。

他者の仕事を決める立場にある人は、その人たちと一定の距離を保つ必要がある。つながりが生まれると、生産性が損なわれる恐れがあるからだ。

もちろん、「垣根を越えてつながる」とは言っても、相手の考えや行動をすべて受け入れろという意味ではない。

相手の行動が不本意な結果を招いてもかばえ、という意味でもない。

感情の露出をむやみに阻もうとする人為的なものを職場から取り除き、安心を感じられるようにするということだ。

L デビッド マルケ:米海軍攻撃型原子力潜水艦「サンタフェ」元艦長

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