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止まらぬ円安の「1200兆円の借金よりヤバい」現実 小手先の日銀介入では隠せない「本当のリスク」

東洋経済オンライン / 2024年5月1日 8時30分

逆に日本に魅力を感じている外国人が増えていて、彼らによる日本の不動産購入が進んでいる。こうした動きは、ドル売り・円買いの取引を生んでいる。

政府債務の影響があるとすれば、その残高というよりも使い道だ。たとえば、アメリカから武器を買うために借金を増やしたのであれば、その代金を支払うためにドルの購入という実際の為替取引が発生する。結果、為替相場は円安に動く。

政府の債務残高に限らず、「〇〇と為替レートには相関関係があるから」という話をする人がいる。この手の話は、実際の為替取引を伴うものでないのなら疑ったほうがいいだろう。市場を動かしているのは必ず取引だからだ(政府の債務問題も含め、相関があるなどの理由から円売りドル買いをする人もいる。しかし、彼らがしているのは投機的な取引であるため、いつかはドルを売って円を買い戻す必要がある。そのため、短期的には市場を動かすが、長期的には影響が少ない。政府日銀のドル売り介入は、こうした短期売買の動きを牽制するためである)。

綱引きに参加する人たちの2つの目的

外国為替取引とは、日本と外国の間で行われている綱引きのようなものだ。それぞれが綱を引く強さによって為替レートが決まる。この綱引きに参加する人の目的は2つ。「消費」と「投資」だ。

1.消費による為替取引

消費についてはイメージしやすいだろう。日本は石油や小麦粉を外国から買う。消費者は円で支払っているが、間に入っている精油会社や製粉会社は為替市場でドルを購入して外国に支払っている。政府による武器の購入もこれにあたる。

消費しているのは物だけではなくサービスもある。ChatGPTやGoogleの広告料も、外国に支払われる過程でドルが購入されている。

他方の外国は、日本から自動車を買ったり、日本で寿司を食べたりするために、ドルを売って円を購入している。

このように、物やサービスの消費によって、日本と外国の間で綱引きが行われている。この綱引きは、円安になると基本的には日本にとって有利に働く。外国人にとって日本製品が安く見えるからだ。

たとえば、5000円のお寿司は、1ドルが100円の時代なら50ドル相当だが、1ドル150円時代には、33ドルで食べられる。

昨年の為替相場は、1ドルが140円から150円で推移し、最近の中では円安水準だったにもかかわらず、昨年の日本の貿易・サービス収支は約10兆円の赤字だった。つまり、日本の物が売れなかった。

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