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「日本は貧乏な人が行く国」訪日客の素直な見方 「安くてコスパがいい」日本が陥っているワナ

東洋経済オンライン / 2024年5月2日 12時30分

「物価が安すぎるし、慣れてしまったこともあってサービスは特にいいとは思わなくなった。6月にまた来るけど、ほかに買うものもないので、もう一度USJに行ってグッズを思い存分買うわ」と教えてくれた。

Aさんに比べると、B夫婦は収入も日本に対する理解も高い。円安でも円高でも、自分がほしいものがあれば為替レートに関係せず消費する。問題は、彼らが求めている「もの」「こと」はまだどのぐらいあるのか、これから、何をもって彼らにこれからもリピートしてもらい、日本の素晴らしさを感じてもらうのか、なのではないかと思った。

これから日本は何を目指すか

筆者はコロナ前から日本のインバウンドにおいて、他国との競争が激しくなるため、「安い」ことではなく、もっと深い文化・価値観につながる戦略を立てる必要があると提唱してきた。

コロナのロックダウンにより、中国国内の観光レベルが急速に向上し、その多くは日本の美意識やスタイルを参考にしている。今まで日本でしか体験できなかった環境は中国のあちこちで楽しむことができるようになっている。

最近では富裕層の開拓に世界が注力しており、ヨーロッパはもちろん、中東、アフリカなど、観光リテラシーの高い若い富裕層の間では中国のこうした新たな観光資源が人気になっている。

日本は、中国に近い先進国として、まず為替レートと関係なく、日本滞在中の1人当たりの消費額を増やす努力をしなければならない。そして、それを一時的な増加だけではなく、長期的に成長させる戦略を立てなければならない。

日本はどういう国だと外国人に知ってもらいたいか、その中にある文化や価値観を軸にどういうテーマを提供できるかーー。それが固まったら、そのテーマを表現できるコンテンツとそれぞれのターゲット、アプローチ方法を定める。実際にアプローチしてみて、効果測定し、改善するというPDCAをつねに実行しなければならない。

そうしないと、日本はいつまで経っても「安い観光地」から脱却できなくなる。為替レートの影響で、本来価値が高いものですらコスト的に「高く」感じられる可能性も出てきており、深い文化の体験をしてもらうハードルが高くなりつつある。

政府、自治体、そして企業は、日本は「本当のお金持ちには物足りなくなってきている」という現実に向き合い、本格的な戦略を練るタイミングなのではないか。

劉 瀟瀟:中国若者富裕層ビジネスコンサルティング 代表

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