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「外国人居住者のごみ」収集体験で垣間見た問題 細かい分別は"日本文化" いかに協力を促すか

東洋経済オンライン / 2024年5月2日 10時0分

そのうえ、指定日ではない資源の排出、指定袋でない袋での排出、袋に入れていない排出、段ボールに入れての排出、などルールを無視したごみが多い。

分別が全くなされていないごみも多々見受けられた。

とりわけ、生ごみとともに瓶や飲料用の缶が入っているごみがたくさんあり、袋から出して分別したかったが、さすがに生ごみを触るのはためらわれた。

また、手で破ったり、引きちぎったりした紙片がそのままステーションに排出されていた。

袋に入れて出してくれたらよいものを、そのまま置かれているので、作業員が箒(ほうき)とちりとりで集めなければいけない。

この日は早朝に雨が降ったため、紙片が濡れた地面にくっついて、掃き集めるのが大変だった。それでも清掃職員の方々は黙々と作業し、その後の作業となるダストボックス収集ができる状態にしていった。

このように、ダストボックス外の状況だけを見ても、ごみの分別がなされていない様子がわかった。そうなると、ダストボックス内のごみが適切に分別されているとは、にわかに信じがたい。

ダストボックスは中身の確認をせず、収集車両に積み込んでいくため、分別状況がわからないまま収集されてしまう。

ごみの形状によっては清掃工場の焼却プラントに悪い影響を与え、最悪、焼却停止に至る恐れもある。しかし機械的な収集ではチェックする術がない。作業を行いながら、清掃工場のプラントへの影響を心配した。

豊田市は清掃指導や多言語対応の看板を作製し、自治区や地域のボランティアの方とともに、外国人向けにごみの分別方法や粗大ごみの出し方など周知している。

しかし実際の行動につなげてもらうのは難しい。「ただ排出をしっかりしてほしい」、それが清掃職員たちの心の叫びだと感じた。

海外のごみ分別事情はどうか

筆者は2019年に在外研究でアイルランドに1年滞在した。

そこでのごみ排出は、①General(黒/一般の家庭ごみ)、②Recycling(緑/資源ごみ)、③Compost(茶色/生ごみ)の3分別だった。

ごみ収集は民営化されており、契約すると②と①③の組み合わせで2週間に1度、家の前にwheelie bin(車輪付きごみ箱)を出して収集してもらう。

筆者の居住していたアパートのごみ分別はかなりいいかげんで、①の中に②③の資源物が多々混入されていた。

それを収集業者が自らの倉庫に持ち帰って機械や人の手で選別して資源を抜き取り、それ以外のものを清掃工場に搬入して焼却する形となっていた。

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