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乗り継ぎスムーズ、スイス「列車ダイヤの秘密」 鉄道もバスも運行間隔揃えて待ち時間を短縮

東洋経済オンライン / 2024年5月3日 6時30分

その後1990年代に入り、スイスではプロジェクト名「Bahn 2000」の名の下に、鉄道網の拡充と近代化が進められた。これにより、国内の鉄道サービスをさらに最適化し、より頻繁で速達性の高いサービスをスイス全域に提供することを目指した。

「Bahn 2000」プロジェクトの推進にあたっては、1998年に行われた国民投票での承認が大きな後押しとなっている。この投票によって、鉄道インフラの大規模な拡張と改善を求める取り組みへの支持が決まり、プロジェクトの資金調達と実施が確実なものとなった。つまり、タクト・ファールプランを含めたスイスの公共交通システムの拡充が大きく進歩したというわけだ。

ただ、通勤・退勤時間帯と日中の閑散期や週末では需要が大きく異なる。時間帯に関係なく一定のダイヤでは輸送力が過剰だったり、不足したりしないのだろうか。そこで、平日のピーク時と週末の昼間との輸送の様子を見てみることにした。

例えば、チューリッヒとその郊外とを結ぶ列車のケースだ。ここでは電気機関車1両と客車3両を1組とした編成の列車が走っているが、これが週末には1組だけで運行する一方、平日のピーク時には3~4組(最大16両)を連ねて走る。ダイヤは変わらないものの、車両数の増減で輸送力を調節しているわけだ。時間帯によって、プラットホームの特定の場所にしか列車が停まらないといった問題はあるが、需要と供給のバランスを取りながら「資源の最適化」を図る姿勢は特筆できよう。

タクト・ファールプランを基に列車やバスを走らせているスイスの交通オペレーターは、鉄道、バス、トラムなど異なる交通機関同士の連携を密に行い、乗り換え時間を可能な限り詰めることで全体の移動時間を短くできるようダイヤが引かれている。常に各交通機関の運行状況がリアルタイムで情報提供されているため、例えば列車が遅れた場合は、バスは乗り継ぎの客が乗車するまで出発を遅らせることがある。

運行状況や旅客需要がデータとして蓄積されていることから、定期的なスケジュールの見直しの際も、運行効率の改善や利用者のニーズに応じて実効性のある調整ができるというわけだ。

国際列車も連携図る

タクト・ファールプランでは、15〜30分ヘッドの通勤列車や国内の都市間特急、ローカルバスの接続連携を図っているものの、スイスの鉄道網を走る列車はそれだけではない。ダイヤが他国にも影響する国際列車などはどのように位置づけているのだろうか。

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