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8年ぶり新作「サガ」万人受けしないけど面白い理由 特殊すぎるバトル、ざっくりとしたストーリー

東洋経済オンライン / 2024年5月8日 12時30分

挑戦するもあっさりやられてしまうため、近くにいるほかの雑魚敵を倒して仲間を鍛え、装備を改善する。また挑戦してやられたとしても、敵が使うこの技はどんな効果があるのか、どう防げるのかを下調べする。これを繰り返し、かなり時間がかかってようやく撃破したのだ。

さらに、ラスボスを撃破したときの状況もドラマティックだった。

最後は主人公であるロボットの歌姫以外すべての味方がやられた状況になり、歌姫も残りHPがごくわずかであった。もはや絶体絶命であり、やり直しが頭をよぎる。

しかし、味方がやられているため歌姫のひとり連携が発動。彼女は最後の力を振り絞りながら戦い、雪が舞い、花が散り乱れる「乱れ雪月花」という美しい技でラスボスを撃破した。

苦労の果てに、しかも最後の最後に主人公が見事な技で最後の敵を倒すとは、いくらなんでも出来すぎではないかと思えるほどの展開であった。

その後は前述のように、歌姫が唐突に歌って物語が終わりを迎えた。だが、このバトルの展開こそがドラマティックで美しい「私だけの物語」になったといえる。

偶発性によってバトル内容が変化

本作には、連携や独壇場のほかに、バトル中に新たな技を覚える「閃き」といった偶発性によってバトル内容が変化する要素が盛り込まれている。

この偶発性により、誰がどんな状況でどのような技で戦うのかはつねに変化する。つまり、「出来すぎに見える偶発的な展開」をプレーヤーが体験できるよう、意図的に作り出しているのが『サガ エメラルド ビヨンド』のスゴいところなのである。

いわば、ゲーム内で用意された物語よりも、バトルを通じてそれぞれのプレーヤーが見た物語(展開)に感動するようなゲームといえる。

ただし、そんな大きな魅力があっても『サガ エメラルド ビヨンド』は簡単にはおすすめできない。

前述のように、本作はバトルが中心でそれも特殊なものなのだが、それ以外はかなりざっくりとしているのだ。ゲームがある程度進むと、アイテムを交換できる「トレード」システムが出てくるのだが、これがとにかく面倒である。

バトル1回ごとにメニュー階層の奥深くからトレードを呼び出し、何度も何度もアイテムのチェックをする必要があるのだ。別にトレードをサボってもいいのだが、それはのちのち困る可能性が出てくる。

改善してほしいところは山のようにあるが…

ストーリースキップ機能も最低限といったところで、同じ主人公で何周もするゲームなのにこれはやる気をなくす。このゲームが好きだとしても、改善してほしいところは山のようにあるのだ。

とはいえ、それでも「バトルによってプレーヤーごとの物語が描かれるRPG」という魅力は非常に大きい。偶発性によってドラマティックな、かつプレーヤーそれぞれの独自体験が生まれる稀有なゲームなのである。おすすめはしないが、我こそはと思う人は遊ぶべき作品だろう。

渡邉 卓也:ゲームライター

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