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「子供に宿題出さないで」底辺校の親の"無理難題" 東海地方で30年働く先生が語った事(第2回)

東洋経済オンライン / 2024年5月9日 7時30分

「子どもは立っていられないほどつらかったのに、先生が無理矢理立たせるようなことを言ってきた」と、生徒の親は主張したようです。

この生徒の親と直接話した鈴木先生は、その言い分にある種の正当性を感じた一方で、思うこともあったようでした。

「私は直接の当事者ではないですが、彼女の親とお話しすることになりました。私は『女子生徒に気安く触れていませんし、階段だからそのまま転んでしまったら危ないと思います。言い方については、気をつけるべき部分があったのかもしれませんが、ほかにどうしようもなかったのではないでしょうか』と伝えました。

ただ、その生徒の親はそれに対して『この子が苦痛を感じたときに代弁してやるのは、私たち親しかいないんです』とおっしゃいました。

お気持ちはわかりますが、でもさすがにそれはおかしいんじゃないかと思ったのを覚えています。子どもを守るのは親の務めかもしれないけど、『守る』の意味が違うのでは?と感じました」

このように鈴木先生の高校に通う保護者が過敏になってしまう理由の1つとして、鈴木先生は「不登校」の増加を理由に挙げます。

「地域の”底辺校”と呼ばれるような私が勤める高校に通う生徒には、中学校で一度、不登校になっている生徒も多いです。

そうすると、親が『とにかく学校に行けている状態を崩したくない』と考えている場合もしばしばあるのです。

ある生徒の親から『私たちの子どもが、中学生のときに不登校になって、家族がどんなに苦労をしたのか、先生たちは知らないですよね』と言われたことがありました。そういう家庭の親は、とにかく徹底して子どもの味方をしてしまうように感じています」

過剰に子どもを保護するのはいいことか

少子化もあり、1人あたりの子どもに大人が注ぐリソースや時間が増えているとみられる令和の現在。

先生からの教えを「成長のため」と親が容認してきた時代から大きく様変わりし、過剰に子どものことを保護するようになったケースについても、改めて考えていかなければならないと、30年以上教育困難校に務める鈴木先生の事例を聞いていて痛感しました。

鈴木先生への取材の第3弾では、コロナ禍での教育困難校の変化を取り上げます。

濱井 正吾:教育系ライター

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