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NYT記者が分析する、AIが抱える最大のリスク 「まだ暴走列車ではない」AIの現在地と課題

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 20時0分

この先どうなってゆくのかわかりません。それでも、インターネットを見れば、少し想像がつきます。良いこともたくさんありましたし、革新的なこともありました。その一方で、悪いこともたくさんありましたよね。偽情報やいじめ、民主主義を脅かすことなど。

つまり、良いことも悪いこともたくさんあります。だから、いずれ何かしらの規制がかかるかもしれません。

現時点では、生成AIの波に乗っている人々がやろうとしているのは、「他の人より少し先を行くこと」でしかありません。つまり、まだ私たちは、暴走列車に乗っているというわけではないのです。

進化し続ける技術に「規制」をかけることはできるか?

――アメリカ政府や議会のこれまでを見ていると、「ハイテク産業に新たな規制をかける」という点で、良い実績をあげられていません。一方で、米中間の情勢を見る限り、アメリカは中国と競争をしなければなりません。まさに「ハイテク覇権競争」です。こうした情勢の中で、アクセルとブレーキを同時に踏むようなハイテク規制はうまくいくのでしょうか。

まさにあなたがおっしゃる通りです。たしかに、アメリカ国内でも意見が分かれています。「規制をかけて進歩のスピードを遅らせるべきかどうか」。そして「中国との競争を続けるべきかどうか」「競争はどうやって続ければよいのか」と。

政府も社会も「利害のバランス」を取ろうとします。ただし、立法的なアプローチはとても難しいです。

もしかすると、国内の半導体産業を支援するCHIPS法のような方法であれば、可能性はあるかもしれません。議会は完全に行き詰まり、何をやってもダメな状況ですが、CHIPS法は超党派で合意して成立しました。

その背景に中国の脅威があったことは確かです。しかし、われわれは中国のようにはやらないでしょう。なぜなら、監視国家などは望んでいないからです。民間企業は、政府による監視など望んでいないのです。しかしその一方で、「競争」は望んでいます。

「ガードレールつきのイノベーション」が望ましいですが、どうなるかはまだこれからです。

――Signal Foundationの会長で元グーグル社員であるメレディス・ウィテカーさんは、データと計算能力が大手IT企業に集中することに懸念を示しています。新しい生成AIテクノロジーや、私たちが進む方向について上がっている懸念の声に対して、あなたはどうお考えですか。

AIの台頭についての懸念は、以前からありました。AIには、データの収集と蓄積が必要不可欠であり、膨大な計算能力が求められるからです。ウィテカーさんが危機感を抱いているような「研究とイノベーションをどこまで民営化するのか」という点に関しても、学識経験者は以前から懸念を表明していました。こうした問題への提案も出ています。たとえば、アレン人工知能研究所は最近、巨大なデータベースを公開しました。

現状は独占と言うより「寡占」

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