3期連続減益に沈むヤマト「強気計画」に漂う暗雲 2024年度は荷物量回復で巻き返しを図るが
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 7時30分
3期連続の営業減益、そして3期連続の下方修正。今期こそは「4度目の正直」で営業増益へ反転できるのか――。
宅配便大手のヤマトホールディングス(HD)は5月8日、2024年3月期決算を発表した。
売上高に相当する営業収益は前期比2.3%減の1兆7586億円、本業の儲けとなる営業利益は同33.3%減の400億円と減収減益だった。当期純利益は土地売却益(122億円)が貢献し、同18%減の376億円となっている。
ヤマトはこれで3期連続の営業減益。業績予想を下方修正したのも3期連続だ。物流業界の物量が低迷する中、厳しい決算に沈んでいる。
年間を通じて荷物量が低迷
苦戦の要因は、思うように荷物を獲得できていないことに尽きる。宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EC事業者向けの「EAZY」)の個数は18.8億個で、前期から2.1%減少した。消費者がリアル店舗での購買に回帰したことなどでEC需要が鈍化したことに加え、年末商戦の不振など、需要期の荷物量が落ち込んだことが影響している。
大口法人向けは営業努力もあり、取扱数量は1.5%増と健闘したものの、個人や小口法人向けは数量が5.8%減と低調だった。そのほか、ロジスティクスや国際輸送の収入も減少している。
プラス要素として、宅配便の単価は運賃値上げ交渉で721円と前期から18円上昇。残業時間の削減や自然減で人件費も大幅に削減し、配送網の集約など構造改革の効果もあったが、物量減の影響は厳しく、大幅減益となってしまった。
栗栖利蔵副社長は決算会見で「期初計画の利益に到達できていない。収益を上げていくことも、年間を通じて満足のいくものではなかった。ただ、第4四半期は費用削減でカバーするなど、流れは変わってきている。この流れを継続させながら、収益を出していくことに注力したい」と語った。
しかし、懸念されるのは続く2025年3月期の業績計画だ。宅配便の個数は6.4%増の20億個、単価は4円増の725円と想定。営業収益は前期比3.5%増の1兆8200億円、営業利益は同24.8%増の500億円とした。上期は50億円の営業赤字となるが、後半に一気に盛り返すシナリオだ。
ヤマトが上期に赤字に転落するのは珍しく、残業代の未払い問題があった2018年3月期以来となる。一方、下期に550億円以上の営業黒字を出したのは、最近ではコロナ禍で特需が発生した2021年3月期しかない。
下期に高水準の利益を目指すが
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
高配当株ランキング~欧州政局不安や米中摩擦の荒波!配当引き下げの恐れ少ない銘柄
トウシル / 2024年6月19日 7時30分
-
「超円安」で打撃、ニトリ、100円ショップの逆境 似鳥会長「1ドル160円を前提に商品を開発する」
東洋経済オンライン / 2024年6月12日 7時10分
-
【就任1年】 トヨタ・佐藤恒治の『緊張感ある投資』 好業績でも手綱を緩めず
財界オンライン / 2024年6月7日 15時0分
-
2024年3月期(2023年度) 連結決算について
PR TIMES / 2024年5月31日 16時40分
-
ポジティブサプライズ決算の主力10銘柄!業績と株主還元を分析
トウシル / 2024年5月31日 7時30分
ランキング
-
1急速な円安・ウォン安巡り「深刻な懸念共有」=日韓財務対話で鈴木財務相
ロイター / 2024年6月25日 17時44分
-
2なぜ豊田章男氏は「不正撲滅は無理だと思う」と語ったのか…「組織不正」の研究者が見た認証不正問題の根本原因
プレジデントオンライン / 2024年6月25日 8時15分
-
3部下「何しに来たんですか?」…完全アウェー状態。〈未経験部門を任された上司〉がやりがちな“ご法度”【ワーママ歴31年/60代現役女性管理職が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月25日 11時0分
-
4ローソンストア100「だけ弁当」第11弾は「だけ弁当(焼そば)」
食品新聞 / 2024年6月25日 8時33分
-
5「鹿児島県産」を「兵庫県産神戸牛」表示で販売…卸売業者に是正指示 「ホルスタイン種」を「和牛」にも 誤った個体識別番号表示で農水省近畿農政局も勧告
MBSニュース / 2024年6月25日 19時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください