「これって教員の仕事?」疲弊する先生のリアル 終わらない業務、保護者からの無理難題に苦慮
東洋経済オンライン / 2024年5月12日 18時0分
学校の教員たちは日々の授業やその準備だけではなく、さまざまな業務や対応に時間と労力を費やしています。徐々に業務や待遇の改善は進んでいるものの、複雑化する社会の中で子どもや保護者の対応に神経をすり減らすことが増え、精神的に追い詰められていく教員も後を絶ちません。本稿では、朝日新聞の連載「いま先生は」をまとめた書籍『何が教師を壊すのか 追いつめられる先生たちのリアル』より一部を抜粋し、教員を取り巻く現状について考えます。
1回目:「先生が壊れる」若手教員に病休者が多い深刻事情
3回目:「何十年前?」職員室のDX化が進まない「なぜ」
子育てとの両立に苦しむ女性教員
近畿地方の公立小学校の40代の女性教員は、会社員の夫とともに、高校生と小学生の子どもを育てながら働いている。
自宅から勤務先までは、車で10分ほど。子どもたちを送り出して、あわただしく出勤し、すぐにクラスの子どもたちを迎える。
午前8時半〜午後5時が「定時」だが、午後3時25分に6時間目の授業が終わると、すぐに会議が入る日が多い。5時をまわり、会議が終わってから、ようやく採点や子どもたちのノートの確認といった「自分の仕事」にとりかかる。
我が子に夕食を食べさせるため、7時ごろ帰宅。家事が一段落してから、午前1時ごろまでかかって、学級通信づくりなど持ち帰った仕事をする。
朝は7時前に起きるのがやっと。高校生の子の弁当は、夫が作る。夕食後、再び出勤することも。土日もどちらかは出勤し、どうにか仕事をまわしている。平日用のおかずも、週末に作り置きや下準備を済ませる。
女性は、教材研究の翌週分を週末にまとめて行う。2020年度から学習指導要領の改訂で、学習内容や求められる指導方法が大きく変わった。教科書や指導書を読み込み、板書計画を練り、授業で使うプリントをつくる。
1教科あたり最低1時間。授業前夜にも、翌日分の内容を再確認する。授業の直前にササッと教科書に目を通すくらいでは、授業の質は保てない。
評価をめぐる負担も重くなったと感じている。学習指導要領の改訂に先立ち、通知表には、主体的に学習にとりくんでいるかを問う項目が加わった。
プレゼンテーションや、資料の読み解き、ノートのとり方など、一人ひとりの学習や思考のプロセスを、より丁寧に見ることが求められるようになった。数値化は難しく、それだけ手間がかかる。
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