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「柏」「川越」戦略地域でも閉店強いられるヨーカ堂 行ってわかった、首都圏・駅前でも苦戦の理由

東洋経済オンライン / 2024年5月13日 8時0分

同じ上層階でも、衣料品と対照的なのはさらに昇った6階だ。中古本チェーンの「ブックオフ」がフロア全体に出店しており、柏店の中で食品売り場に次ぐ賑わいを見せている。

記者が訪れたときも、商品が入ったクリアケースを前に談笑するサブカル系サークルと見られる若者や、帰りがけにビジネス書や参考書、漫画を選ぶサラリーマンや学生が多く見られた。トレーディングカード売り場中央に設けられた遊戯スペースは、小中高生や大学生で常に満席で、館としてのポテンシャルの高さを感じた。

柏市の商工観光課の担当者も「駅周辺の家賃は年々上昇しており、空きテナントもすぐに埋まってしまう」と話す。もしヨーカ堂が早期から抜本的な衣料品売り場の縮小、テナントの誘致を進めていれば、館全体の集客力・収益性を改善させ、撤退にまで追い込まれることは防げたかもしれない。

次に取り上げるのが、埼玉県川越市にある「イトーヨーカドー食品館 川越店」だ。

川越店は総合スーパーとして1967年に開業し、再開発後の2019年に2階建ての小型食品スーパー業態としてオープンしたばかり。西武新宿線の本川越駅から徒歩1分と、こちらも駅前好立地だ。

食品スーパーとしては珍しく、生鮮食品は1階ではなく2階中心に取り扱う。1階は総菜など即食商品の品ぞろえを強化し、周辺の通勤客や共働き世帯などの簡便ニーズを取り込もうという狙いだった。

駅前立地でも休日の集客に苦戦

ヨーカ堂は「首都圏と食という、まだ勝てる見込みのある地域、事業に経営資源を集中させる」(山本哲也社長)という方針を掲げており、川越店はその両方に当てはまる。他チェーンの幹部も市場調査に頻繁に訪れており、一時は戦略店舗とさえいわれていた。しかし今年7月、リニューアルオープンから4年も経たずに撤退という結末を迎える。

競合の見方は冷静だ。大手チェーンの幹部は「平日の帰宅客はとれていたみたいだが、休日はガラガラ。地元客のヘビーユーザーを作れていないのでは」と話す。

4月のある土曜日、実際に記者も足を運んでみた。1階、2階ともに「ガラガラ」とまではいかないものの、客数は数えられる程度であり、休日に地元密着型のスーパーを訪れたときの活気は感じられなかった。1ブロック隣の商店街は歩きづらいほどの観光客で賑わっていたにもかかわらず、店内に観光客とおぼしき人が見つからなかったのも印象的だった。

川越市に住む50代パートの女性は「川越市は割と車社会。休日に車で利用しようにも提携駐車場からは徒歩5分も離れていて不便だった」と話す。

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