社員の流出防止に「他社の成功事例」は通用しない 身の丈に合わない施策は「裏目」に出ることも
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 6時50分
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有名企業で成功した施策がそのまま自社にもマッチする可能性は低いと捉えた方が良いでしょう。他社の成功事例を参考にしつつも、自社に合った「最適解」を探ることがエンゲージメント向上の近道です。
Doにおける誤解…「ここまでエンゲージメントが上がればもう安心」
エンゲージメントが向上したからといって、まだ終わりではありません。
Planの次は、Do(施策実行)に進みます。何らかの施策を講じたことでエンゲージメントが向上し、安心して以後の取組みをやめてしまうのはよくあるパターンです。
しかし、事業環境の変化、顧客との関係性の変化、社内の体制変更、個々の従業員のコンディションの変化など、様々な要因によってエンゲージメントは変動します。エンゲージメントが目標値に達したからといって油断していると、半年後、1年後に急降下してしまうこともあります。
成長ステージごとに異なる課題が発生する
Doのポイント…常に半歩先を見据えて予防策を打つ
組織の成長ステージは大きく「拡大期」「多角期」「再生期」の3つに分けることができます。そして、ステージごとに発生しやすい組織課題は異なります(図表3)。
例えば、スタートアップや新規事業が大きく成長していく拡大期は、組織の複雑性が増大するために「マネジメント不全症」が起こります。マネジャーがマネジメントに時間を割けず、マネジメントが機能しなくなることで、メンバーはストレスを抱えるようになってしまいます。
安定成長のため事業の複線化を図る多角期は、組織内で上下・左右の距離感が広がっていくために、「既存事業疲弊症」が起こります。
新規事業への参入を支えているのは既存事業の利益であるのに、経営トップの関心も全社的な注目も新規事業に集中するため、既存事業を支える従業員から不満の声が挙がるようになります。
エンゲージメントは一度向上させて終わりではない
市場が成熟し、新たな価値創出を模索していく再生期は、組織に無力感や既決感が蔓延するようになり、「既決感疲弊症」が起こりがちです。
成功を導いた過去の考え方や制度を変革することへの恐れが生じます。その結果、新たな挑戦や新規事業の模索が妨げられ、組織内に諦めや無力感がはびこり、進取の精神を持った従業員のモチベーションまで下げてしまいます。
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