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東大入試で出題「じゃんけんグリコ」必勝法の衝撃 「小学校の算数」で解ける問題を東大が出す意味

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 9時20分

チョキを出す:勝ち→+5点、負け→-3点、得点の差し引き=+2点

パーを出す:勝ち→+6点、負け→-5点、得点の差し引き=+1点

相手の手が完全にランダムである以上、勝ち負けも完全にランダムです。ということは、グーを出し続ければ点差は「-3点×ジャンケンの回数」に近づいていきますし、チョキを出し続ければ点差は「+2点×ジャンケンの回数」に近づいていきます。

こう考えると、相手がランダムに手を出し続ける以上、チョキを出し続けるのがいちばん合理的な選択になるわけです。自分のことだけを考えるのであればたしかにパーが強そうに見えますが、実際はチョキのほうがいいわけですね。

表側だけでなく、「裏側」も見る思考法

さて、この問題は、「勝ったときだけでなく、負けたときにどうなるか」まで考えなければならない問題です。表側に見えているもの・自分の側だけでなく、裏側にあるものや相手の側に立って考える思考があるかどうかを問われていたと言えます。

じゃんけんグリコに限らず、どんなゲームでも、強くなるためには「相手の立場に立って考える思考」が必要だと言われています。将棋は相手がどう指すのかを先読みしながら指す必要がありますし、麻雀では相手の手牌がどんなものなのかを考えつつ自分の手牌を考えなければなりません。

こうした相手の立場に立って物事を考える思考は、「論理的思考力(ロジカルシンキング)」の1つとしてとらえられています。論理的に物事を考える中で、逆算的に思考する必要があるわけです。

東大は、この逆算的な思考能力が身についている人なのかどうかを、この問題を通して聞いていたのではないかと考えることができると思います。

算数や数学が「逆算的な思考能力」を高める

そして算数や数学の勉強をすると、この逆算的な思考能力を養うことができるのです。

数学の有名な証明方法の1つに「背理法」というものがありますが、これは「もしAが正しいと仮定すると、こういう矛盾があるから、Aは正しくない」という証明方法です。

難しく感じるかもしれませんが、推理小説やドラマなどで「花子さんが犯人だと仮定すると、犯行時刻の19時に犯行現場にいたことになる。しかし花子さんには19時に犯行現場ではない場所にいたというアリバイがある。だから花子さんは犯人ではない」と探偵が言うのと同じことですね。

これも、「表側だけではなく裏側も考える思考」の1つであり、これを使って何かを証明したり考えたりする訓練をする中で、逆算的な思考能力を養うことができます。

算数・数学はこのように、逆算で物事を考える能力の向上に役に立つ問題が満載なのです。もし「表側だけではなく裏側も考える思考の武器」を身につけたいと感じる人は、ぜひ算数・数学を学び直してみていただければと思います!

西岡 壱誠:現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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