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唯一の「電車が走らない県」徳島ご当地鉄道事情 ただし鉄道ネットワークは意外に充実している

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 6時30分

鳴門線はおおよそ1時間に1本の各駅停車。これが池谷―徳島間で高徳線に流れ込むことで、高徳線も1時間に2本の普通列車の運転本数が確保されている。

いずれにしても徳島駅にたどり着けばあとは進路は2方向。西に向かって吉野川沿いをさかのぼっていくのが徳島線、太平洋沿いを南に行くのが牟岐線だ。

徳島線は、愛称の「よしの川ブルーライン」のとおりに吉野川を見ながら(といっても、実際に車窓から望める区間はごくわずか。車窓という点では南側の剣山地も見どころだ)の徳島線。こちらは本数こそ「うずしお」には負けるものの、1日に下り6本・上り5本の特急「剣山」が走っている。

さらに、2020年からは観光列車「藍よしのがわトロッコ」も運行されるなど、観光色も兼ね備えた路線の1つだ。

そんな徳島線の終点は、土讃線と合流する佃駅。全列車が土讃線阿波池田駅まで乗り入れている。池田といったら、1980年代前半の高校野球界を賑わした“やまびこ打線”でおなじみの池田高校がある町だ。

実際に阿波池田駅にやってくると、これが本当にやまびこが返ってきそうな静かな山あいの町であることに驚かされる。ここで徳島線から土讃線に乗り継げば、北は高松、南は高知。阿波池田の南側には大歩危小歩危の景勝地があるが、ここも徳島県だ。徳島県の西の端をかすめる土讃線。四国山地のど真ん中を貫いている。

海沿いを走る路線も

山に向かう路線が徳島線だとするならば、海を見るのが牟岐線だ。徳島駅から南下して、青色発光ダイオードでおなじみの阿南、はたまた朝ドラ『ウェルかめ』の舞台になった日和佐などを通り、高知県との県境を目指してゆく。

終点の阿波海南駅からは、レールの上も道路もどちらも走れる阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)が続いている。

かつては高松から直通する特急「うずしお」などが走っていたこともあったが、いまの牟岐線の特急列車は1日1往復で実態としては通勤ライナー化している「むろと」だけ。それでも、四国第23番霊場の薬王寺が駅裏に鎮座する日和佐駅に向けて、毎年お正月には臨時特急「やくおうじ」が運転されるのが習わしになっている。

鉄道連絡船全盛期の面影も

また、いまでは廃線になってしまって久しいが、徳島の南の中田駅からは小松島線という支線が分かれていた。

徳島の要港として期待された小松島港への路線であり、1913年という徳島県内では早期に開業した路線の1つだ。実際に、往時は和歌山・大阪・神戸方面との航路と接続し、航路連絡路線の役割を担っていた。いまも、廃止された小松島駅の周辺にはターミナル時代の面影がほんのりと残っている。

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