1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

人間に近づいた「GPT-4o」3つの進化のポイント あえて人間ぽくした?広がる「擬人化トレンド」

東洋経済オンライン / 2024年5月15日 7時0分

このようにさまざまなコンテンツを処理するマルチモーダル機能は従来のGPT-4にも用意されていたが、それは各々のコンテンツに対応する複数のソフトウエアモジュールを後からつぎはぎする形で提供されていた。

これに対しGPT-4oは最初からシングルモジュールとして開発されたので、異なる種類のコンテンツをより高速かつスムーズに処理できるようになったという。

AI側でも感情表現ができるように

その3:感情を理解し表現することで人間に近づく

GPT-4oでは、人と自然な会話ができるだけでなく、ユーザー(人間)の感情を読み取り、その気持ちや心理状態に配慮した返答や対応ができるようになった。その一環でもあるが、当然AIの側でもある程度の感情表現が可能になったという。

例えば以下のデモ動画では、自信なさそうに数学の宿題を解こうとする子供をAIが親切にアシストする様子が紹介されている。直角三角形の正弦関数(sinθ)を計算する問題で、子供が「斜辺」と「底辺」を混同したときに、AIは「それは間違い」などと無神経に指摘するのではなく、「うーん、近い」という表現で子供のやる気を促し、最終的に正解へと導く様子が撮影されている。

このようにAIが人間の感情を理解すると同時に自分でも感情を表現できるようになることは、専門家の間で(AIの)「擬人化(anthropomorphization)」と呼ばれている。

こうした傾向には実は一長一短がある。

擬人化の長所は前出のデモ動画で紹介したような、ユーザーの心理状態に寄り添ったきめ細かいAIサービスが可能になること。逆に短所は、ユーザーがAIを本物の人間と錯覚して気を遣ったり、気味の悪い思いをしたり、最悪の場合はAIに騙されたり悪事を唆(そそのか)されたりすることだ。

実際、ベルギーやイギリスでは擬人化されたAIと恋に落ちたユーザー(いずれも男性)がAIにそそのかされて自殺したり、(生前の)エリザベス女王の暗殺を企てて(女王の週末の住居)ウィンザー城の敷地に侵入したりするなど、嘘のような本当の事件がすでに起きている。

このためグーグルやマイクロソフトなどの巨大IT企業は、これまで「AIは(どれほど巧妙に作られていても)所詮ツールに過ぎず、決して人間ではない」と強調するなど擬人化には意図的に距離を置いてきた。

AIの擬人化は危険だが避けて通れない課題

しかしOpenAIは今回そうした前例に反して、あえてAIを人間に近づける方向に舵を切ったと見ることができる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください