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怪しいカルトや陰謀論に取込まれる人「納得の訳」 米国人の40%「キリストは40年以内に再臨する」

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 9時0分

私たちが抱いている過去についての共通の認識は、共通の想定や考えにもとづいている。想定は、思考や推論の重要な要素である。

人は、つねに何かを想定しているが、それが危険なものになることがある。何かを想定していることに無自覚だったり、想定を裏づけるはずの証拠がいつのまにか不十分になっていたり(または、そもそも最初から裏づけになっていないことに気づいていない)、想定がある一線を越えて引くに引けなくなったときなどだ。想定に固執するあまり、疑うことさえ思いつかなくなるのだ。

思い入れがあまりに強くなると、疑問を抱く必要を感じなくなり、その問題についてこれ以上学ぼうとせず、自分の見解と相反する新たな証拠を示されても、軽視するか、見て見ぬふりをするようになる場合がある。

これは「故意の盲目」と呼ばれる。多くの法的場面では、入手できる証拠に気づかなかったことは、詐欺を「見逃した」り、知らぬ間に犯罪に関与したりしていることの抗弁にはならない。

2010年にピュー研究所が行った調査では、アメリカ人の40%が「イエス・キリストは今後40年以内に再臨して地上に戻ってくる」と信じていた。

マジックを見破れない人の頭は悪くない

作家ダニエル・コーエンによると、「現代の天変地異説論者を、詐欺師だとかバカげているとか、頭がおかしいとけなすのは間違っている。そうした人たちは、普段は正直で、知的で、極めてまともだが、正しくない考えを信じ込んでいるだけなのである」。

つまり彼らは、同じ思い込みをしていない人にとっては意味をなさないとしても、「結論」そのものにこだわっているのだ。

すべての思い込みに、カルトの信念ほどの強さがあるわけではない。カルトとは、主流ではない宗教、陰謀説、カリスマ的なリーダーなど、社会の本流から大きく外れた価値観を共有していると思われる人々の集団である。

なかには私たちが思うよりずっと一時的で、思いのほか簡単に打ち勝てるものもある。それどころか、実験によって、思い込みはたちどころに変えられることがわかった。

2005年に科学学術雑誌『サイエンス』に掲載された論文で、ペター・ヨハンソン、ラーズ・ホール、スヴェルケル・シークストロームらの4人は、ある実験の結果を報告した。実験ではまず、120人の被験者に2人の人物の写真を見せ、魅力的だと思うほうを選ばせた。

次に、被験者に選んだ写真を手渡し、その理由を説明するよう求めた。被験者はなぜその人物が魅力的だと思ったかを説明した(「目が素敵だから」「茶色い髪が好みだから」など)。

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