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今の時期はご用心「カラス襲撃」から身を守る方法 人を襲う理由や習性について鳥類学者が解説

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 12時20分

おそらく、誰かがカラスの嫌がることを何かしていたに違いない、と筆者は思っている。

故意に巣に近づいたり、路上にいるヒナに触ろうとしたりすれば当然攻撃されるが、たまたま巣やヒナに接近してしまって襲われることもある。これらを防ぐためにはどうすればいいだろう。

樋口さんによると、その対策としては、「帽子を被ったり、日傘を差したりすること」が挙げられるという。帽子も傘もない場合は、両腕をバンザイのように垂直に上げることも有効だそう。カラスはつばさが何かに触れることを嫌うため、「障害物」があれば攻撃してこない。

「突然襲われたときは、びっくりしてあわてて立ち去ろうとすると思いますが、それはしないほうがいいです。意外と転んでケガをするケースが多いんです。襲われても動き回ったりせずに、落ち着くことが大切です」(樋口さん)

カラスは世界中にいるが、大都会でこれほど多くのカラスが人のそばにいる光景は、東京以外はないそうだ。

欧米のように鉄製の重いフタが付いたダストボックスではなく、道路の片隅にあるゴミ集積所に袋詰めのゴミを出すという東京独特のゴミの収集方法が、カラスの口に食べものが入りやすい状態を作り出しているのだという。

日本で見られるカラスは2種

日本でよく見られるカラスはハシブトガラスとハシボソガラスの2種。都会で暮らすのは主にハシブトガラスで、ゴミを荒らしたり、人を襲ったりするのもこちらだという。

くちばしが大きいのが特徴で、全長は平均約57センチ。雑食性で、小動物や果実、昆虫を食べるが、マヨネーズなど油脂を多く含む食材も好む。せっけんも好物だ。

「ゴミを散らかす」「襲われて怖い」などの苦情を受け、石原慎太郎都知事(当時)が「カラス対策プロジェクトチーム」を発足させた2001年に比べ、現在の東京都心のカラスの数は大幅に減っている。

大きなねぐらがある豊島岡墓地(文京区)、明治神宮(渋谷区)、国立科学博物館附属自然教育園(港区)の3カ所で1985年から個体数を調べている「都市鳥研究会」によると、2000年は1万8658羽だったが、2021年は2785羽だった。ゴミの早朝収集などの取り組みのほか、カラス除けネットの普及、わな小屋を設置したうえでの捕獲・駆除の結果といえる。

カラスが引き起こす害には、送電線の上に巣をつくることで起きる停電や、農作物の食い荒らし、空港付近での航空機との衝突もある。近年では、鳥インフルエンザのウイルスをカラスが運んでいるのかもしれないと疑われたこともあった。

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