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プーチン政権に激震!国防相はなぜ解任されたのか 12年間の盟友をクビにしたプーチンの本音は

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 8時0分

一方で、ロシアの一部報道ではいっそうショッキングな疑惑が浮上している。イワノフ氏らが西側情報機関に極秘情報を渡したという「国家反逆」容疑だ。クレムリンはこの情報を「マスコミによる臆測」と否定している。

しかし、状況証拠として「あり得るな」と思わせる未確認情報がある。プーチン政権の腐敗を追及しているロシアの元反政府運動指導者であった故ナワリヌイ氏の組織が、イワノフ夫妻がロールスロイスを乗り回してパリの高級ナイトクラブで派手に交遊していたとする映像をSNSで2年前から盛んに流しているのだ。

イワノフ夫妻は欧州で城も購入したとも噂されている。この国防省高官としては考えられないような豪遊の中で、イワノフ夫妻に西側情報機関が接近し、国家機密を受け取ったとの説だ。

この「国家反逆罪」説の真偽は、今後の捜査や裁判の中ではっきりする可能性もある。しかし、ショイグ氏が安全保障会議書記に異動したことを見れば、当面ショイグ氏が追及の矢面に立たされる可能性は少ないだろう。

安全保障会議書記ポストに、国防省や情報機関などを動かす実際上の権限はない。ショイグ氏はお飾り的存在になるとみられる。

一方で、ショイグ氏が今後もお咎めなしで済むかどうかはわからない。事件のほとぼりが冷めたのを見計らって、何らかの形で処罰されるとの見方も出ている。

更迭を慎重に進めたプーチン

プーチン氏はショイグ国防相を交代させるに当たり、極めて慎重に事前作業を進めた。ショイグ氏が更迭の動きに反発して軍事クーデターを起こすことを懸念して、軍が発表前に国防省周辺で鎮圧作戦の訓練を行ったと国防省関係者は証言している。この関係者はこう苦笑する。「モスクワでの特別軍事作戦だった」と。

これは、プーチン氏が軍部によるクーデターをいかに恐れているかを、端的に示すエピソードだ。2023年6月に起きた民間軍事会社ワグネル社による武装反乱事件の苦い記憶が鮮明に残っているのだ。

重武装した反乱部隊がモスクワに向け、何の鎮圧行為も受けずに進軍したことにプーチン氏は大きなショックを受けた。今回の政府人事を練るうえで最大のキーワードは自らへの「忠誠心」だったのは間違いない。

実はプーチン氏は、この反乱事件発生を食い止められなかったショイグ氏だけでなく、最側近だったニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記に対しても決定的な不信感を抱いたと言われる。

とくにパトルシェフ氏は当時、軍や情報機関部門の統括を任されていた政権ナンバー2だった。それにもかかわらず、反乱収束に向け一切動かなかった。これでプーチン氏はパトルシェフ氏を遠ざけたという。

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