「16時間断食のデメリット」無理なく克服する方法 脂肪のほかに「燃やされてしまうもの」を補う
東洋経済オンライン / 2024年5月18日 15時0分
1日のうち16時間は何も食べない、あとは自由に飲み食いしていいという 「16時間断食」のブームが続いています。生活習慣病の専門医であり、ブームの火付け役としても知られる青木厚氏曰く「誰でも簡単に実践できるうえ、がんや認知症、生活習慣病の予防にも役立つ」という「16時間断食」。そのメカニズムとはいったいどんなものなのでしょう? またデメリットはないのでしょうか?
日進月歩で研究が進む「空腹」や「断食」に関する最新の知見を、青木氏の著書『新版「空腹」こそ最強のクスリ』より一部抜粋・再構成して解説します。
空腹や断食に関する研究は日進月歩で進化している
「16時間断食」は、オートファジー研究をもとに生み出された食事法です。「オートファジー」は、古くなった細胞が新しく生まれ変わるという体の仕組みです。2016年に東京工業大学の大隅良典栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、にわかに注目を浴びました。
近年、「空腹」に関する世界の認識は急速に深まりつつあり、オートファジー研究をはじめ、新しい研究成果が続々と発表されています。
次々に発表される論文のなかでも『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(NEJM)』に掲載された、「空腹」に関する論文は大変話題になりました。『NEJM』は世界で最も権威ある週刊総合医学雑誌のひとつです。
この論文は「『間欠的な断食』によりメタボリックスイッチが入る」と述べていました。「間欠的な断食」とは「数時間の食べない時間を作ること」ということなので、「16時間断食」もこれに当てはまります。
「メタボリックスイッチ」という言葉を初めて聞いたという人もいるだろうと思いますが、「16時間断食」を行ううえで、ぜひとも知っておいてほしい重要なポイントです。
「メタボリックスイッチが入る」というのはどういうことか。それは人間の体の代謝に関わってきます。
私たちが日々の食事で摂った糖質や脂質の一部は、
(1)分解されてブドウ糖になり、脳や筋肉、内臓などが働くためのエネルギー源として使われる。
(2)次に、エネルギーとして使われず余った分が、筋肉や肝臓に蓄えられる。
(3)それでもおさまりきらなかった分は中性脂肪になって脂肪細胞に蓄えられる。
そして、「16時間断食」を行っているあいだ、
(4)まず、肝臓や血液中のブドウ糖がエネルギー源として使われる。
(5)肝臓や血液中のブドウ糖を使い切ると、体は中性脂肪や筋肉のタンパク質をケトン体に変換してエネルギー源として使うようになる。
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