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日本が後れをとる食材「養殖ナマズ」の可能性 高タンパクで低カロリー、味はフグに似てる?

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 9時30分

そこで魚の陸上養殖ができないかと思って調べてみると、岡山県にあるジャパンマリンポニックスという陸上養殖設備の販売をしている会社を見つけた。林田さんはすぐに連絡して社長に会いに行った。

ジャパンマリンポニックスは養殖業も手がけていて、中国やラオス、ベトナム原産のヒレナマズを「桃太郎フィッシュ」と命名し、県内の回転寿司店などにも卸していた。

「回転寿司でヒレナマズの握りも食べに行きましたし、唐揚げや焼きものも食べました。その美味しさもさることながら、ジャパンマリンポニックスの内尾義信社長の『ヒレナマズを日本の鮭(のようなメジャーな食材)にしたい』というひと言に共感して、やってみようと思いました」(林田さん)

「MINRAKU」内にある養殖場の広さは約750平方メートルで、メインとなる20トンの養殖水槽が3基と5トンが1基、1トンが3基の計7基。以前に取材した愛知県の奥三河にあるチョウザメの養殖場は近くを流れる川の水を利用していたが、ここでは井戸水を使い、ヒレナマズにとって快適な28度の水温をキープしている。

専用のろ過装置や微生物の働きで水を循環させる閉鎖循環式陸上養殖というシステムゆえに排水する必要がないのだ。ヒレナマズは丈夫で病気になりにくいうえ、成長のスピードも速い。6カ月で体長60センチ、重さ1.5キロになったところで出荷される。

生命力の強さから滋養強壮効果に期待?

ちょうどこの日は、名古屋市内のレストランに納品するとのことで、ヒレナマズを捌くところを見せてもらった。うなぎと同様に体全体にぬめりがあるため、林田さんは滑り止めがついた手袋を着用して捌き始めた。

まずはハンマーで頭を叩いて動きを止めてから頭部を切断するのだが、包丁が入らない部分があり、調理用のハサミを使う。その後、内臓を取り除いて三枚におろす。林田さんは手慣れた手つきで捌き、10分もかからないうちに終わった。

「ぬめりがありますし、捌くのに手間がかかるのが難点ですね。今はコツをつかんでいますが、初めて捌いたときは1時間くらい格闘していました」(林田さん)

驚いたのは、切断した頭部や内臓がしばらくの間動いていたこと。素人考えだが、これだけ生命力が強ければ、滋養強壮に効果があるのではないか。アニメ「あらいぐまラスカル」の中で、主人公のスターリングが病弱な母親のためにナマズのフライを食べさせようと釣りに出かける話があるのであながち間違ってはいないと思う。

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