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日本の高校で中国人留学生が増え続ける仰天事態 過当競争の中国と少子化ニッポンの利害が一致

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 7時30分

さらに、筆者は首都圏にある入試偏差値60台の有力進学校でも中国人留学生の受け入れが始まっていることを確認した。驚くことに、受け入れ校の中には、合格後に集中的に日本語を学ぶことを前提に「面接時点で日本語能力を要求しない学校もある」(袁列氏)という。

全国的に高校の中国人留学生が増えてきているらしいことは、「学校基本調査」からも見てとれる。日本の私立高校における外国人生徒数は2013年から2023年にかけて3694人から6272人まで増えている。高校以下の学齢で中国人の留学を斡旋するエージェントが増えていることも、その傍証となる。

中国人留学生比率がすでに一定の水準に達している高校の教師が、匿名を条件に全国で中国人留学生の受け入れが広がる現状について語る。

「これは日本の少子化のあおりです。生徒が減っても高校には一定数の教師が必要です。教師の人件費を払うためには、どうにか生徒を入れて、学校を回さないといけない」

だが、あまりに中国人留学生を増やしすぎると経営とは別の意味で”学校崩壊”が始まることになる。この教師は、「受け入れる留学生の学力にこだわらなくなると、指導できくなった教師が辞めていき、代わりの教師を探すという悪循環に陥る」と事情を明かす。

この日本人教師は、「国際的プログラムを持たない一般の高校が受け入れられる留学生の数は全体の2〜5%ほどで、10〜15%までいくと違和感が出る」と打ち明ける。

「中国人の学校」とみなされ、日本人生徒から敬遠される事態を避ける工夫も必要ということだ。

そもそも、なぜ中国で日本への高校留学が人気となっているのか。

中国の体制への失望が背中を押す

都内で中国系進学塾を経営する中国人男性は「(中国人保護者の)中国国内の体制への失望です。つまりイデオロギー色の強い中国の教育を避けているのです。そして中国の教育をめぐる『巻』(ジュアン、過度な競争を意味する)が無意味で、子どもの心身を破壊することがわかったのです」と話す。

日本への留学を考えても、競争率の高いインターナショナルスクールに入るのは難しい(参考:日本のインター校に中国から「教育移民」が殺到中)。さらにインターの場合、保護者が日本に居住しているのが前提なので、一般の高校への留学が有力なオプションになってきている。

中国から都内の高校に留学した経験がある現役の女子大学生は、小学生の頃に家族で日本に旅行してすっかり気に入り、日本留学を決めたのだという。「中国の高校はすごく『巻』なので比較的早い段階で出国しました」と語る。

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