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飼い主が切望「泡を吹いて死んだ」愛猫の死の真相 獣医病理医がすすめない「ネコの飼い方」の結果

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 11時0分

最も多いのが交通事故死。いわゆる“ロードキル”です。車を運転される方なら、誰しもが一度は、道路上に横たわるかわいそうなネコの遺体を見たことがあるのではないでしょうか。

認定NPO法人「人と動物の共生センター」が行ったネコの路上遺体回収数調査(ロードキル調査:2018)では、日本国内でロードキルによって死亡するネコの数は、保健所で安楽死処分されるネコの数の約10倍にものぼるとされています。

ネコという動物は、急に動き出したかと思えば突然止まったりと、ぼくたちの予想外の行動をしますから、ドライバーの努力にも限界はあります。

誰の目にも死因が明らかなロードキルとは別に、原因不明で特に目の前で苦しんで亡くなったとき、飼い主さんがぼくのような獣医病理医に剖検を依頼されるケースがよくあります。泡を吹いて急死した茶トラのネコは、このパターンでした。

早速、解剖をしてみると、遺体の皮下にはほどよく脂肪があり、栄養状態はよい。毛の状態もよい。一見して健康状態は良好で、大事に飼われていたことがうかがわれます。感染症が疑われる所見であるリンパ節や脾臓の腫れなどは確認できません。

そんなネコが急死したとなると、可能性が高いのは、何らかの毒物を摂取したということになります。ぼくのところに遺体が持ち込まれてくる外飼いのネコに最も頻出する死因が、外傷と並んで誤飲と中毒です。

ネコに舐められたことがある人はおわかりかと思いますが、ザラザラしていてちょっと痛いですよね。

というのも、ネコの舌には細かい無数のトゲ(正式には糸状=しじょう=乳頭といいます)が生えています。そのため、口にしたものが引っかかりやすく、持ち前の好奇心でくわえたものをそのまま飲み込んでしまいやすいのです。

また、ネコは舌で毛繕いをする習性がありますから、その際に屋外で毒物にさらされた被毛を舐めてしまうということがよく起こります。ネコの体には人間やイヌが持っているような薬物や毒物を代謝するある種の酵素がないということもあり、中毒から死に至ることが珍しくありません。

このとき、茶トラのネコが中毒を起こした毒物の種類まではわかりませんでした。死亡したのが人間でしたら、科学捜査研究所(科捜研)などでより詳しい分析が可能なのでしょうが、動物について、毒物の精密な分析ができるような機関は国内にはほとんどありません。

おまけに自由に出歩くことができる外飼いのネコの場合、外でどのような毒物にさらされたのか飼い主が見ていないので、判断がとても難しいのです。

摂取した毒物は農薬か除草剤?

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