1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分

飲むヨーグルトにもメリットはある。含まれる乳酸菌数、または酵母数は、乳酸菌飲料と同等かそれ以上だ。さらに無脂乳固形分が多いためコクがあり、乳酸菌飲料よりもタンパク質や炭水化物、ビタミンやミネラルを多く含むのが特徴だ。

だが、こうした価値はうまく消費者に伝わっていない。乳酸菌飲料と比べて原価が高く、広告宣伝の費用が限られるのが要因の一つだ。

一方、乳酸菌飲料や乳酸菌入り清涼飲料水には水分が多く含まれ、原材料費を抑えやすいうえ、機能性表示食品の場合は高単価なことも多い。収益性は高く、マーケティングにも力を入れやすい。

飲むヨーグルトとほかの飲料との違いはわかりにくく、消費者が「広告でよく見る商品を買おう」となるのは容易に想像できる。

では、飲むヨーグルトはどう反転攻勢を仕掛けるのか。メーカー各社は健康面の価値の訴求に力を入れる。

機能性表示食品や「医師の○%が奨める」などとうたう飲むヨーグルトを展開する。「食後の尿酸値の上昇を抑える」や「記憶の維持」、「注意力の維持」など目新しい機能をうたう商品も続々と登場している。乳酸菌飲料ではなかなか耳にしない機能も多く、飲むヨーグルトならではの価値を伝えるために差別化しているのだ。

また、これらの高付加価値商品は100~200グラム程度の小容量品で展開する。一般的な飲むヨーグルトより単価を高めに設定でき、容量も少ないため収益性を高められる。

明治は昨年10月、「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ The GOLD」を発売。同社が「強さひきだす」と表現する素材「R-1乳酸菌EPS」を従来品の2倍配合した商品だ。希望小売価格(税込み)は257円で従来品より約100円高いが、滑り出しは好調で、今年3月まで計画比10%増の売れ行きとなっている。

プロバイオ事業を担当する発酵マーケティング部の山本俊一氏は「サプリや栄養ドリンクなどを購入する層が新規で購入している。少し高くてもよいものを選ぶ人は多く、顧客獲得の余地がある」と分析する。

「健康疲れ」で、味を重視する消費者も

市場分析を重ね、味を重視する消費者の動きに着目したのは森永乳業だ。「コロナ禍の初期に健康意識が一気に向上した反動で、一部の消費者が『健康疲れ』をしているのではないか」(ヨーグルト・デザート事業マーケティング部マネージャーを務める田中泰徳氏)。

最近はデザート系の商品が人気だ。昨年9月に森永が投入した「マミーのむヨーグルト」の販売は好調で、今年4月にはピーチ風味を投入するなど、味を重視した提案を進めている。

「今後も乳酸菌飲料の勢いに押されたままとは考えていない。機能とおいしさの両軸に力を入れ、価値をしっかり伝えていく」(田中氏)。

「乳酸菌飲料バブル」の中で人気が揺らぐ飲むヨーグルト。改めて、健康面の価値と味の良さを消費者にアピールしていくことが、復権のカギとなりそうだ。

田口 遥:東洋経済 記者

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください