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評価を高める奇妙な「レッドスニーカー効果」とは 会議に真っ赤なスニーカーで来る人がいる理由

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 10時0分

説明文は二通りあり、同調型として書かれた文章(「マイクは基本的にはネクタイを着用し、ひげはきちんと剃っています」)と、非同調型として書かれた文章(「マイクは基本的にTシャツを着用し、あごひげを伸ばしています」)があった。

被験者はこれを読んで、教授の能力と、この教授が周囲からどの程度尊敬されているかという点を推測し、7ポイント制で評価する。すると、非同調型教授のスコアが平均5.35、同調型教授のスコアは5.00だった。統計的に有意と言える差が生じている。

ジーノらの論文は次のように考察している。

非同調型の行動は社会的コストを伴うことが多い。そのため周囲に同調しない人物を目にした人は、その人物は社会的ヒエラルキーにおいて立場がゆらぐ心配をする必要がない、つまり非同調的行動の社会的コストを気にしなくてもよいほどに、パワフルなポジションにあるのだろうと解釈する。

ジーノはこの考察に「レッドスニーカー効果」という名前をつけた。当時、著名なIT系起業家にビジネス上のドレスコードを無視する傾向が見られたことにちなんでいる。大事な会議にもスーツとネクタイではなく、スウェットシャツやトレーニングシューズで出席する――ときには真っ赤なスニーカーで――という様子を表現したネーミングだった。

こうした研究はマーケティングにどんな関連性があるだろうか。スニーカーの話は面白いが、論文で説明されている状況――会議や学会におけるドレスコードやひげ剃りなど――は広告の話とは関係がない。宣伝を作るにあたって、この発見を参考にできる部分はあるだろうか。

そうした疑問を出発点として、私は2020年にダンカン・ウィレットおよびサムラン・カウルとともに、より商業性の高いシチュエーションでのレッドスニーカー効果を検証している。

被験者には、ブランドネームのわからないクラフトビールの瓶を見せた。いずれも目を引くようなボトルデザインなのだが、4本のうち3本は似通ったスタイルのデザインであるのに対し、残り1本だけ明らかに雰囲気の違うデザインになっている。被験者にはそれぞれのビールの質を評価するよう求めた。

次に、別の被験者グループにも、同じく4本のビールを見せた。4本のうち2本は最初の実験で独特だった1本と、ほかと似通っていた1本だ。さらに新たな2本として、独特だった1本と似た雰囲気でデザインされたビールを並べた。

同じボトルデザインが、ほかのデザインとそろっている場合と、逆らっている場合で、評価に違いが出るかどうか調べるという意図だ。

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